第105回 (最終回) 会社を設立し、まったく経験のなかった仕事をはじめてから、ちょうど10年。幸運もあったし、よくやってこれたと思うところもある反面、思ったほどには伸びなかったナ、とも思う。 起業した当初は、社会の中に自分の居場所をつくることが目的であって、なんとかスキマをみつけ、他にはない価値を生み出して、自己の存在を認めてもらおうと一生懸命だった。3〜5年でこの段階は、まあまあクリアできた。 そこから自然に発展するものかと思っていたけれど、これが全然で、売上げ1億円のハードルが高い。受注デザインの限界かと考えて、他のこともやろうとしたけれど、ほとんど成果がない。新しいことに挑戦する間、本業をサボることになって、かえって業績を落としてしまった。クルマでいえば、なんとか発進はしたけれど、ローのままアクセルを踏んでばかりで、セカンドに入らない。 エイヤッと、起業するのは一大決心だし、なかなか難しいものではあるけれど、これはたんに度胸の問題で、誰だって300万用意してハンコさえ押せば会社は作れる。無謀さがあれば、知恵も努力もいらない。 起業の第一段階は、まず3年やっていけるかどうか。この段階は、マーケットにスキマをみつけられるかどうか。自分の商品/サビスに、主張できる差別点をつくれるかどうかが、分岐点かと思う。ただ、ここをクリアしてなんとか居場所をつくっても、その多くは鳴かず飛ばず、カツカツな零細企業にすぎない。そこに、ライフスタイルはあっても、夢がない。 第二段階は、自分にはまだ未踏の境地だけれど、第一段階にとどまっていては面白くない。スローライフなんていらない。やはり、人生にも企業にも、成長は必要なのだ。 自分なりには、次のようなことを課題と考え、実行していくつもりだ。 *** さて、邱さんと約束した105回に、ようやくたどりついた。ぼくの「創業大学」は、今回でおしまい。書くことは嫌いではない方だが、コラムの連載については、自分はアマチュアだった。5ヶ月くらいで終えようと思っていたのが、8ヶ月もかかった。レベルの高いこのサイトの読者の方がどんな感想を持たれたかと思うと、かなり恥ずかしい。ともあれ自省の機会ももてた。この場を与えてくれた邱さんと、スタッフと、読者のみなさんにお礼をいいたい。おつき合いいただいて、ありがとうございました。 ********** |
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