第88回 募集キャンペーンなどで、「応募作品の著作権は、主催者に帰属します」というのをよく見かける。これは著作権について、主催者の認識が不足している証拠だ。 とすれば、著作権が作者にあることを前提に、利用権がひろく主催者に設定されるとすることで、主催者の希望する結果は得られる。 わが社では、著作権を留保しつつ、クライアントに使用権を設定するかたちで納品している。使用権の範囲については、実質的にクライアントの利便性を考え、広く設定することはさしつかえない。もちろん価格は、利用権の範囲にふさわしいものにはなるだろうが、利用権の範囲を広くとれば、クライアントの使い勝手は、実質的に「譲渡」と同じことになる。 ではなぜ、われわれが「著作権留保」にこだわり、譲渡をしないか。 もっとも、同一性保持(改変するな)の権利は、著作者人格権といわれ、理論からいえば一身専属したがって譲渡不可のはずだが、そもそも著作権を譲渡せよと主張する人に、そのような理屈が通じるだろうか。 |
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