第80回 ここに、個装され箱詰めされた、贈答用のお菓子「手づくりケーキ」があるとしよう。このお菓子に、次のようなキャッチフレーズが書いてあるとして、それはよい広告か悪い広告か、考えてもらいたい。 ことばの表現には、(1)事実と(2)解釈と(3)評価の3つのレベルがある。たとえば、近所の奥さんが「最近うちのダンナは、ぜんぜん私のことをかまってくれない。もう愛がさめちゃったのね。一生大事にするって言ってたくせに、彼はウソツキで、けちんぼだわ!」と言ったとする。 情報とは、第一に事実にある。解釈や評価をいくら並べられても、なかなか説得された感じにならない。ジャーナリズムでは、事実がいちばん大切だ。二流のジャーナリズムは取材をさぼり、事実が少ないぶんを解釈と評価で補う。 例題にもどると、このコピーには「北海道でとれた」ことしか事実がない。「良質な素材」は評価であり、「まごころをこめた」は解釈だ。文字量は多いのに情報量が乏しく、作り手の商品理解が足りないことを示している。 |
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