第74回 ぼく個人が、いつも「なんとなく」買いたいものは、オーディオとかカメラとか、コンピュータなどのオタク系商品群だ。 これらの商品は、10代のころ(せいぜい22才まで)非常に強くあこがれていたのだが、当時はとても買えなかった。そのことが心に刻まれているような感じがある。何人かに聞いてみると、それぞれにこのような「思い出のモノ」がある。 若いときに、欲しくて欲しくてしょうがなかったもの、手に入らなかったものが、何年も後になって、どうしても買いたくなる。使わないことはわかっているのに、もっともっと高価なものを「買いつぶしてやりたい!」というような、そんな心理。トラウマを埋め合わせるかのような、この消費心理を、とりあえず「消費リベンジ」と名づけてみる。価格合理性を無視して、エスカレートする傾向もあり、なんとなくサイコな行動である。 じいちゃんばあちゃんが、孫のために出費を惜しまないのは、もちろん孫がカワイイからだが、消費リベンジの心理もドライブをかけているように思う。 ところが、買ってもらえなかった当の子どもの方では、べつにそれほど、深いこだわりが残っているわけでもない。「子どもに十分なことをしてやれない」ことで、傷ついているのは、子でなく、親だということだろうか。 懐かし系のマーケティングがときどきでてくるが、この心理から考えると、思いきり高く価格設定した方が満足度が高くなる、ということにならないか。 |
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