第46回 設立からかれこれ9年、営業らしき営業をほとんどせずに、なんとかやってこれたわけだが、逆に、それ以上の成長をとげることもできなかった。このことは、社長のぼくがボトルネックになっている証拠であると自覚もしており、何とかしたいと考えていた。ひとつの解決策として、信頼おける人にパートナーとして会社に入ってもらい、営業を担当してもらうことにした。もちろん、彼のやり方を持ち込んでもらいたいわけだが、わが社の文化がそれでいいかどうか、一回考えてみる機会があった。 彼は、制作担当者に対して直接指示をせず、必ずぼくを通し、ぼくの判断を尊重しようとする。ありがたいような気もするが、煩わしい。聞いてみると、「自分は営業であり、制作はあなたが担当だから、指揮命令系統が混乱しないよう、配慮していた」。指揮命令とは、これまでスイスイ社の辞書にはなかった言葉である。また「経済社会では、ピラミッド型の組織が能率がよく、指揮命令系が混乱しないよう、役割分担が必要」という意見でもあった。 ぼく自身は、たった7人の会社でそんな組織を意識するのもどうかと思うし、最後のよりどころとして、ディレクターとかリーダーは決めておかなければならないにしても、組織はなるべくフラットでありたく、いちいち指揮命令系統を意識するようでは窮屈だと考えていた。 議論してみてわかったことは、ピラミッド型の組織では、上層部が情報をにぎって判断をしていくが、末端ではただデクとなって、言われたとおりに動く。その役割に徹して、能率を上げようとする。これに対してフラットな組織では、リーダーは、命令ではなく情報を与えて、スタッフに主体的な行動を求める。個人に主体性が必要になるいっぽう、リーダーは権力で押し切ることが難しくなり、実質的な説得力が求められる。混乱もおきるが、個人がいきる組織になる可能性もある。 これまでの社会ではピラミッド型がよかったのかも知れないが、スイスイ社ではそうでない組織で、果たして利益が出せるものかどうか、挑戦していこうと決めた。対立する考え方があったおかげで、めざす方向が明確になった。 |
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