中国料理の味の決め手はスープ、といわれるほど、
スープはさまざまな料理の基本になる大切なものです。
実際、中国では、
もし料理店と家庭との料理に味の差があるとしたら、
それはスープの差によるとさえいわれます。
さまざまな料理に加えるスープが、たとえ少量であっても、
簡単に作ったものやインスタントの固形スープで作ったものと、
吟味した多くの材料に手をかけてスープにしたものとでは、
仕上がりの味に差が出るのは当然です。
基本になるスープ、
つまり日本料理でいえばだし汁にあたるものの他に
スープ料理があります。
中国では、スープ料理のことを「湯菜」と呼び、
コースの最後を締めくくる大切な一品とされています。
ただし、清湯菜のように、コースの途中に出され、
口味をととのえるものもあります。
清湯菜(チンタンツァイ):
澄んだ上等なスープで作ります。
材料の持ち味をいかすスープで、
蒸しものの清蒸の調理法も含まれます。
<女偏に乃>湯菜(ナイタンツァイ):
「ナイ湯」とは白いスープ、濁ったスープのこと。
また、濃いスープやエバミルクを入れたスープのこともさします。
これらのスープを使ったスープがナイ湯菜です。
砂鍋(シャクオ):
土鍋で煮込んだスープです。
火鍋(ホクオ):
中央に煙突のある鍋、つまり火鍋で煮込むスープです。
煙突に炭火を入れ、まわりにスープと材料を入れて煮立てます。
酒蒸(チュウチョン):
酒を加えて長時間蒸し、酒と蒸し汁がスープに変わるものです。
<火に敦>(トン):
土鍋を使い、弱火でゆっくり、材料がとろけるぐらい煮るスープ。
中でも濁らせないように作ったスープを「清トン」と呼びます。
羹(コン):
スープに水溶きの片栗粉を加えてとろみをつけます。
どのスープを作るにしても、
まず基本になるスープをおいしく作らなくてはなりません。
●上湯(シャンタン)
これはいちばん上等のおいしいスープで、
つばめの巣、フカのひれなど、
味のないしかも上等の材料を使うスープに用いられます。
日本料理でいえば、いちばんだしというところです。
鶏一羽、中国ハム、豚赤身肉などをゆっくり煮込んでとります。
●一般的なスープ
ふつうは、鶏がら、豚骨、他の料理の残りものなどの
細かい肉を用意し、沸騰湯にさっと通して
血や臭み、汚れを取り除き、ねぎとしょうがを加えて弱火で煮ます。
●鶏がらや豚骨は必ず湯を通してから使います。
鶏がらや豚骨には、血合や汚れがついていますから、
まず水で洗い、沸騰湯にさっと通します。
こうすると臭みが取れます。
●必ず弱火で煮続けます。
スープは一度沸騰させ、アクを取ってからは必ず弱火で煮ます。
強い火で煮ると濁ってしまい、澄んだ仕上がりになりません。
ゴトゴトと煮立たせずに沸騰寸前の状態を続けます。
鍋のふたをすると濁るのでふたをしないで煮ます。
●味つけは淡めにします。
スープの味は必ず淡めに仕上げるようにします。
塩辛くなっては台無しですから、物足りないときは、
むしろ食卓に出してから塩などで補うくらいにします。
また、油っぽくならないようにすることが大切です。
そのためにも、アクはていねいに取り除きます。
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