揚げたり蒸したりした材料に、
片栗粉でとろみをつけたあんをかけたり、
また、煮込んだ料理の煮汁にとろみをつける料理が
あんかけものです。
中国料理には、このあんかけものがたくさんあります。
あんをかけたり、からませたりする料理を
中国では「溜菜(リュウツァイ)」と呼びます。
「溜(リュウ)」の調理法は「炒(チャオ)」に似ていますが、
「炒」よりたれを多く使うため味が濃くなります。
炸溜(ツアリュウ):
衣をつけて揚げた材料にあんをかけます。
まず、あんを先に作り、揚げたものをあんに加えるので、
香ばしい口当たりです。
あんには甘酢をきかせたものを多く使います。
焦溜(チアオリュウ):
「炸溜」とほぼ同じですが、揚げる際に材料に焦げめを多くつけ、
あんをからませます。
滑溜(ホアリュウ):
下味をつけた材料を油通しし、あんにからませます。
なめらかに仕上がります。
醋溜(ツウリュウ)・糖醋溜(タンツウリュウ):
酢や甘酢をたっぷりきかせたあんでからめます。
煮込んだ料理の煮汁にとろみをつけたあんかけものを
中国では「ホイツァイ」と呼びます。
紅<火に會>(ホンホイ):
しょうゆで味をつけたあんで仕上げます。
白<火に會>(パイホイ):
塩味のあんで仕上げます。
青<火に會>(チンホイ):
済んだスープ(清湯)を使い、塩味で仕上げます。
これは、蒸しものに応用すると料理が引き立ちます。
●あんの柔らかさが味の決め手です。
堅すぎて糊のようなあんや、水っぽいあんでは、
おいしく仕上がりません。
材料の持ち味を殺し、食欲も半減してしまいます。
あんの片栗粉の量は、1カップの水分に対して
片栗粉小さじ1を大さじ1の水で溶いたものが基本です。
●味つけはひかえめにします。
とくにしょうゆを使う場合は、
色が濃くなりすぎないように注意すること。
透明な薄い色のあんに仕上げることです。
また、とろみをつけてからでは味の調整はできませんから、
片栗粉を入れる前に、必ず味をみるようにします。
濃すぎる場合は水かスープを足しましょう。
甘酢をきかせるあんも、すっぱすぎたり甘すぎたりしないように。
●ブツブツのないなめらかなあんを多めに作ります。
ブツブツができたり、むらのあるあんではおいしくできません。
よくかき混ぜてなめらかに作ります。
また、あんをかけたり、からめる場合は、少し多めに作り、
かけるときに量を加減するようにします。
煮込みの場合は長く煮すぎないようにすることも大切です。
煮すぎると粘りが出て、味も落ちます。
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