第200回
計画など立てずに行ってみる
ミュージシャンの井上陽水さんは、
いつものジーンズ姿でふらりと成田空港に現れて、
その場で航空券を買って海外に出かけて行くそうです。
格好いいですね。
もちろん一般の人より格段に収入が多いから、
どんな航空券がおトクだとか考えなくてすむのでしょう。
自由業ですから、前もって休みの計画など
立てる必要もないのかもしれません。
海外旅行が自由化されて40年、日本人も旅なれました。
素人では行けない場所や手配が難しい国を除けば、
パックツアーを使う人はどんどん減っています。
なれてくると自分流の旅ができるようになるのは当たり前。
諸外国の流れを見ても同じです。
最近は女性の一人旅も珍しくなくなりました。
航空券だけ買って、あとのことは行ってから決める。
そんな無計画な旅もいいです。
私の場合、そうした旅が将来の仕事に
直接結びついてしまったわけですが、
旅行業界で働く人の多くが、
若いときの旅は将来ぜったいに役立つと言います。
経済も文化も、善も悪も国際化している昨今、
彼らの話には説得力があります。
ところが今は違うんです。年寄りが海外に出て、
若い人は海外旅行をしない傾向がある。
お金に余裕のある年配の方、
あなたが貯めこんでいるうちのいくらかを身近な若い人にあげて、
旅に行かせてやってはどうでしょうか。
さて、ちょうど一年間に渡って連載してきましたが、
今回をもって、私のコラムは終わりになります。
皆さんに旅行の情報をお伝えしてきたわけですが、
私自身も得るものが大きかった。
ほとんど存じ上げなかった 永漢先生の作品を
読ませていただくようになったのも、この連載がきっかけでした。
先生は読者にとって有益な情報を惜しげもなくお書きになる。
事業や株への投資なども、まるで読者より先に実験をされて、
その結果を報告されるために行われているようにさえ思える。
好奇心が先だと言われますが、
それが結果的に実験になっているように思えるわけです。
自分以外のもののためにお金を使うこと。
お金が回り、経済が活性化する秘訣は
そこにあると私は思っていますが、
先生のことを知って、ますますそのことを確信しました。
身銭をきって投資をし、その経験で知りえた知識を伝える。
なかなかできることではありませんよね。
終わりが見えると、逆に書きたいことが山ほど出てきます。
日本航空とJR東日本の提携のこと、
航空業界に見る企業の国際提携、
国内より海外に親近感を覚える街があること、
マイレージ全盛時代の旅行と日常生活のこと、
パスポートに代わる新しい本人確認の方法・・・、
数え挙げればキリがありません。
これからは雑誌や書籍やインターネットなどで
お伝えしていければと考えています。
ご愛読いただき、ありがとうございました。
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