旅行記者・緒方信一郎さんの
読んでトクする旅の話

第187回
価値観を共有できない恐怖

きっかけは「トレビアの泉」という
超人気テレビ番組をまったく面白いと思わなかったことでした。
もし、日本人の間に共通の価値観があるとすれば、
自分はそれを共有できていないのではないか。
そんな思いがだんだん強くなっています。
地上波のテレビを面白くないと思うのは、
今に始まったことではありません。
あれが若年層向けの番組だとすれば、
自分が年をとっただけとも思えます。

ですが、夜の雑多な番組が流れる時間帯でも
感じることは同じです。
仕事が一段落してテレビを見るとすれば、
だいたい夜の10時近く。
それからの番組は、ニュース、スポーツダイジェスト、
お笑い芸人と呼ばれる人たちが出るバラエティ。
NHKはまったく違う流れですが。
いずれにしろ、そんなところでしょう。
それで、ニュース番組のキャスターの
コメントは鬱陶しいと感じるだけ。
スポーツダイジェストではプロ野球の情報ばかりで、
どういう人たちが見ているのか不思議でたまらない。
バラエティは明らかに電波の無駄。
昔からそう思ってはいましたが、
今よりはもっと共感できる部分があった気がします。

テレビくらいで大げさな、
という意見もあるでしょう。
でも、それは日常生活でも同じです。
団体行動が肌に合わず、周囲と意見が合わないのが当たり前。
仕事上での世間話では話を合わせても、
ほんの少数の人を除いて、所詮は社交辞令。
昔からそんなふうに感じていました。
でも、以前は今よりも意見が合致することが多かったように思います。
プライベートでも、実は同じような感覚を持っています。

年に何度も海外旅行に出かけて、
外国ナイズされたのでしょうか。
ですが、行き先はバラバラですから、
「ナイズ」されようがないように思えます。
ただ、外国へ出かける生活が長く続いてくると、
それは「生き方」になり、
微妙な考え方のずれが出てくるのかもしれません。
「旅行記者」という仕事のジャンルを勝手につくり、
それで10年以上生活してきた。
あるいは、そんな独自のやり方が
だんだんと周囲との「ずれ」を生じさせているのかもしれない。

自分以外の価値観を卑下しているわけではありません。
ですが、周囲とずれてきたと感じても、
それはそれでいいのではないか。
そう思う自分がいるのも確かです。
とりあえず、旅が多いこと、それに、
扱う情報も海外事情に関することが圧倒的に多く、
日々、雑多な価値観を吸収している。
そういう日常から「ずれ」が
生じてきていることにしておきます。
でも、本当は今、周囲との「ずれ」を感じている人は
圧倒的に増えているはずですが。


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