第129回
限りなく定期便に近いチャーター便
11月30日から開設予定の羽田−ソウル線は、特例だらけ。
従来は認められていなかった昼間の時間帯(朝6時から夜23時)に
運航することのできる、初めての国際チャーター便。
「国際線は成田、国内線は羽田」という従来の原則からすると、
まずはこのチャーター便自体が「特例」といえます。
行き先はソウルに限定されていますが、
相手国(今回の場合は韓国)の空港を限定することは、
国際民間航空条約(シカゴ条約)の規定に抵触します。
そこで、国土交通省は、いろいろな条件を付けて、
ソウルの金浦空港へしか運航できないようにしてしまいました。
さらに、「チャーター便」という表現も正確なのか、疑問です。
本来、旅客チャーター便は、団体やツアー客が利用できるもの。
航空会社と旅行会社が便を運航する計画を立て、
旅行会社が集客をし、航空会社が運航するという流れとなります。
しかし、今回は個人客の搭乗を認め、
航空会社が直接チケットを販売できるようになります。
航空会社の時刻表にもスケジュールが記載されるそうです。
定期便とどこが違うのでしょうか。
逆に定期便にも、ツアー客や団体客、個人客も混在しています。
さらに、よく分からないのが、
個人客向けに販売できる座席は半分までと規定している点。
その根拠は、「あくまでチャーター便なので、
これ以上個人客向けの座席販売を認めることになると、
定期便と同じになってしまう」
(旅行業界紙「ウィング・トラベル」より)からだそうです。
どうして個人客が半分までならチャーター便で、
それ以上になると、定期便になるのでしょう。
定期便でも、8割以上が修学旅行などの団体で埋まった便もある。
個人客が半分までならよくて6割ならダメなのでしょうか。
航空会社や旅行会社がツアーや団体客を集めることができなくても、
個人客は半分までしか乗れないのでしょうか。
それで、航空会社は採算が取れるのでしょうか。
もしも、半分を超える、つまり51%目に当たる乗客は、
搭乗を拒否されるのでしょうか。
ここまで考えてきて、ようやくひとつの結論が見えてきました。
今回の羽田−ソウル線をチャーター便だと思うから混乱するのです。
「限りなく定期便に近いチャーター便」だと考えればいいのです。
それでも、よく分からないという人もいるでしょうし、
諸外国が理解してくれるかは疑問ですが。
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