旅行記者・緒方信一郎さんの
読んでトクする旅の話

第92回
空港でアップグレードしてもらうには

エコノミークラスの航空券だったのに、
空港へ行ったらアップグレードしてくれた。
何度も海外旅行へ出かけている人なら、
そんなラッキーな経験をしているかもしれません。

チェックイン時にアップグレードされることがあるのは、
主に2つの理由によります。
まず、ひとつはオーバーブッキング。
オーバーブッキングは、航空会社側が座席の数を上回る
人数の予約を受けてしまったがために起こるわけですが、
エコノミークラスに空きがないため、溢れた乗客を
ビジネスクラス、あるいは稀にファーストクラスに回すのです。
ですから、出発ギリギリに駆け込むなど、
他の乗客よりチェックインが遅れた人が対象になることが多い。
特に個人旅行の格安航空券や正規割引航空券で乗る人が選ばれます。
団体旅行やツアーの場合、一人や二人だけアップグレードすると、
他の乗客とのバランスの問題がありますから、確率は低くなる。

こんなことを書くと、わざと遅れて空港に行く人がいますが、
それでアップグレードされるかどうかは、まさに運次第。
航空会社側も、そういう「テクニック」があることを
知っていますから。航空会社の方針にもよるでしょう。
日系の場合、「正規の料金を払っている乗客から苦情が出る」との
理由から、よほどのことがないとアップグレードしてくれません。
芸能人や企業の幹部、あるいは皇族までもひんぱんに利用する
某大手航空会社は特に厳しく管理しているようです。

まったく違う発想をする航空会社もあります。
一度、上級クラスを体験させておくと
次はお金を払って乗ってくれるかもしれない。
そう考えて、セールスプロモーションの一環として
アップグレードしてくれるわけです。
ビジネスマンっぽい人、旅慣れており裕福そうな人などが
対象になりやすいようです。
ただ、襟付きのシャツやジャケットを着ていると
アップグレードされやすいと言われますが、
それだけでアップグレードしてくれるかというと、難しい。
ある程度きちんとした身なりの人が選ばれるのは、
上級クラスの雰囲気を乱さないようにするのが主な理由です。
空港の係員は接客のプロ。一目見ただけで、
その人の職業や経済状態をある程度見抜けるはず。
それに最近はマイレージの上級会員を大切にする傾向が強い。
どこかのマイレージをたくさん貯めておいた方が
アップグレードされる確率は高いかもしれません。


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