旅行記者・緒方信一郎さんの
読んでトクする旅の話

第37回
旅行地を開拓する2つの「人種」

日本人旅行者の間で急激に人気が出る、すなわちブレイクする
旅行地が1〜2年に1か所くらいの割合で出てきます。
5年ほど前のタイ、そして去年は中国がブレイクしました。
でも、そういった旅行地には必ずと言っていいほど、
ある「人種」が先に行っています。
ビジネスマンとバックパッカーたちです。

大勢の観光客が行くようになるためには、
業界用語でいう「インフラ」、すなわち現地のホテルや観光地などの
外国人の受け入れ体勢が整わなければなりません。
しかし、ビジネスマンとバックパッカーたちは違います。
彼らは海外のネットワークの中に入っていく。
ビジネスマンは現地の言葉しか通じない所へ通訳を雇って行く、
バックパッカーは安宿しかないような途上国でも平気で旅する。
彼らは現地ではまったく違った動きをしていますし、
ともすると互いに最も相容れない「人種」といえます。

しかし、両者とも、現地の人たちに、
「日本人との付き合い方はこうすればいい」、
「日本人の好む食べ物はこういうものだ」といった
ヒントを与えている。そして、民間レベルではそれが積もり積もり、
一方で官のレベルでは、その国が日本人観光客の受け入れに
力を入れはじめる。そこに、ブームの下地ができるわけです。

あとはきっかけ。タイはタイ国際航空がテレビCFなどで、
「タイは若いうちに行け」と銘打ったキャンペーンを行い、
それが見事に的中。それまでの「おじさんたちの国」といった
イメージを払拭。老若男女を問わず楽しめる国になりました。
中国は、昨年3月に成田空港の第2滑走路がオープンして
便数が大幅増。業界関係者が挙って販売に力を入れた結果、
大ブームになりました。

ビジネスマンとバックパッカーたちしか行っていないところが、
その後、必ずブームになるとは限りません。
でも、他の人より一歩先行く旅がしたいなら彼らの行動が
ヒントになることは確かですよ。


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