旅行記者・緒方信一郎さんの
読んでトクする旅の話

第23回
メジャーリーグを2倍楽しむ方法

イチロー、マツイ、ノモ、ササキ、シンジョー、ハセガワ・・・、
たくさんの日本人選手がメジャーリーグでプレーするようになり、
彼らの活躍を観に行く日本人旅行者はずいぶん多くなりました。
日本のプロ野球に比べてメジャーリーグのゲームが
どれほど面白いかはいろんな方が話されているので、
私はまったく違った楽しみ方を、ご提案してみようかと。

仕事ではありましたが、私はイチロー選手が所属する
シアトル・マリナーズのゲームを2度ほど観戦しました。
そのときに出会ったアメリカ白人の親子のことを、
今でも時々、ふと思い出すことがあります。
父親は50代くらいで、少し太めの典型的なお父さんという風貌。
息子は日本でいえば中学二年生くらいのスマートな男の子でした。

父親の方はバッターボックスに入った選手の成績や、
ボール・カウント、アウト・カウントなどを、
試合の間ずっと楽しそうに息子に解説しています。
息子もその解説を楽しそうに聞きているのですが、
彼の瞳には父親を誇りに思う気持ち、少し大げさに言えば、
尊敬の念のようなものが浮かんでいるのが感じられました。
男の子が父親のことが好きだというのが、よく分かるのです。

自分が中学生の頃は、父親に反発ばかりしていて、
楽しく遊んだり、尊敬の気持ちを持って接した記憶はありません。
今の中学生はどうなのか。
お父さんと仲良く野球を観に行く男の子は
どれくらいいるだろうか。そんなことを考えてしまいました。

さて、その親子は、地元シアトルの球場で試合があるときは
時間の許す限り来ていると言っていましたから、
ベースボールは二人にとってコミュニケーションの
手段になっているのでしょうね。
ベースボース観戦を楽しめた上に、
アメリカ人の良心にまで触れた気になった、
とてもおトクな試合観戦となりました。

メジャーリーグの球場にはいろんな人が来ています。
従業員を大勢連れてきて、俺が連れてきてやったんだ、
と言わんばかりの態度で威張っているボス、
はしゃぎまくっている女の子のグループ、
しっとりした雰囲気の好感の持てる老夫婦・・・。
そんな観戦客たちを眺めていると
アメリカ人の生活まで見えるような気がしてけっこう面白い。
ゲームを観るだけでなく、人間ウォッチングをすれば、
メジャーリーグ観戦は、2倍楽しめてしまうというわけです。


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