元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第2028回
「百年前の真実」を探る旅(3)

2月の末に、温泉保養を兼ねて
和歌山県の南紀白浜に数日間逗留していた――、
ガンを癒す、のんびり冬をすごすための
じつは、南紀白浜・保養の旅は、
百年前の「真実」を探る旅でもあった――
100年前の南紀・和歌山で、
僕の母方の祖父・沖野岩三郎を襲った、
「天皇暗殺・大逆事件」の真相を追って
この4月に、「大逆事件異聞―大正霊戦記―沖野岩三郎伝」という
350ページほどのノンフィクション評伝を刊行する――
という「百年前の真実を探る旅」の話の続きです。

おいおい、せっかくガンの保養に、ゆっくり、ゆったり
温泉療養に出かけたのに、
暗殺だの絞首刑だの
ずいぶん物騒な事件の取材をして、
かえってストレスが溜まって体によくないのでは・・・と
呆れる読者もおられるでしょうが、
不思議なことですが、
ガンにめぐり合って、
人間の生死の際のような部分を体感してしまうと、
まさに、身・魂・心の人間の深層をえぐる「真実」を見ることが
当たり前になってきたようなのです。
僕も若い日に、100万部も200万部も雑誌を売ったりして、
株でちょっと儲けたり・・・
そうした荒業に一喜一憂していたわけですが、
よる年波でしょうか?
健康や事業ばかりか、やっと、
いのちの深奥に迫る仕事といいますか、
著作がしたくなったようで、
その方がかえって
自然なライフスタイルとなってきたようなんです。
今風の若者流に言えば、人生が「渋く」なったのでしょう・

さて、「大逆事件異聞―大正霊戦記―沖野岩三郎伝」という近刊は,
僕の小さな出版社の自社出版で刊行しますが、
全国書店やアマゾンなどのオンライン通販でも購入できますから、
興味がある人は読んでみてください。
ちょっと、いわゆるマスメディアでは読めない
「百年前の真実」を知ることが出来るはずです。
詳しくは、また、このコラムでも紹介させていただきますが、
少しだけ、拙著「大逆事件異聞―大正霊戦記―沖野岩三郎伝」
のさわりを紹介しておきます。

               *

明治44年(1911年)2月18日、
「大逆事件・天皇暗殺団」とされた
無政府主義者・幸徳秋水以下26名のうち
24名に絞首刑判決が下される。
(2名は有期刑。翌19日、12名は無期懲役に減刑) 
中に紀州新宮生まれの名物医師・大石誠之助が挙げられたために、
紀伊半島の果てにある小さな町の人々は
肝を抜かれるばかりか、
ただただ不気味なる恐怖に慄(おのの)いた。
沖野岩三郎自身も大石医師の共謀者ではないか
と居宅に踏み込まれ、そのまま警察に連行、
問答無用で訊問されたが奇跡的に嫌疑から逃れた。

本来はならば、犯罪そのものは
信州・長野の片田舎で発覚した
爆発物取締罰則違反にすぎない事件だったが、
爆弾実験犯・宮下太吉の逮捕をきっかけに
東京・大阪・兵庫・和歌山・熊本・・・と、
官憲は列島全土にまたがる
「50人の決死隊による天皇暗殺組織の大陰謀」
としてフレームアップ(でっち上げ)し、
社会主義者、進歩主義者たちを捕縄、投獄。
遺族、家族を巻き込んで
とたんの苦しみに陥れたところに問題があった。
「天皇、太皇太后、皇太后、皇后、皇太子又ハ
皇太孫ニ対シ危害ヲ加ヘ又ハ加ヘントシタル者ハ死刑ニ処ス」――
刑法73条によって
紀州・和歌山の地からは6名が極刑に処された。(略)


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2008年3月16日(日)

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