元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1977回
「赤ちゃんマンモス」が教えること

約3万7000年前の赤ちゃんマンモスの「リューバ」が公開、
というので
東京駅前の丸の内ビルディング1まで行ってきました。
みなさんの中にも、
恐竜やマンモス好きのお子さんにせがまれて
見にいった方もあるかも知れません。
ロシア・西シベリアの永久凍土から凍結した状態で見つかった
生後約半年の雌で、
リューバは永久凍土に圧迫されて
体がやや平たくなっていたが、
尾っぽは切れているものの、
長い鼻も保存されていて、ほぼ全身が残っている。
見物の若い女性たちからは
「かわいい」という声もあがっておりました。

昨年5月に見つかり、赤ちゃんマンモスの一般公開は世界初。
体重約50キロ、体長約120センチで、
零下18度のケース内に展示され、
コンピューター断層撮影(CT)の3次元画像も見ることが出来、
下半身にかけての消化器が腐ることなく良好の状態で
残されているとのことですから、
これから詳細が解明され、
僕たちに生命進化の謎について、
いろいろ教えてくれることでしょう。

巨大哺乳類マンモスは
約1万年前に極北シベリアから姿を消しました。
マンモス絶滅の謎には二つほど説があります。
1・気候温暖化がマンモスを絶滅に追いやったとする説、
2・また現人類の祖先である先史モンゴロイドが
大量にマンモス狩りをして絶滅させたという説、
絶滅の謎はまだ解けていませんが、
いままた、地球は温暖化の世紀をむかえて、
永久凍土の融解が進行している極北シベリアでは、
その凍土のなかからマンモスの絶滅の謎を解く鍵が
分かってくることは確かでしょう。

すでに新聞紙上で報道されていますが、
画像解析を進めている鈴木直樹慈恵医大教授が
地球温暖化がなければ、
永久凍土が解けずに
リューバと出会うのは、もっと先だったかもしれない・・・。
「リューバは地球の異変を
皆が認識するためのメッセンジャーでもある」
という談話は、とくに注目でしょう。

いま二酸化炭素の大量排出で地球温暖化を加速させ、
人類を崩壊の道に向わせている事実を、
この「赤ちゃんマンモス」が緊急警告しているわけですから、
地球環境論や環境教育について論じ合うにしても、
抽象論に終わらせるのではなく、
まずは、僕たち人類へのメッセージを秘めて
永久凍土から現れた「赤ちゃんマンモス」のけなげな姿を
ぜひ、世の父親母親は
次世代を担う子供たちの目に焼き付けてもらいましょう。
わが家で何をすべきか?
社会貢献をどうすべきか? 
ひとり一人の「いのち」をどう考えるか?
マンモス赤ちゃんは『環境』はもちろん
『いのち』のこれからについて
大事なメッセージを送るために現れたに違いない、
僕は、そう思って帰ってきました。

ちなみに、化石燃料、つまり石油、石炭、天然ガスを燃やして、
世界全体で大気中に出している二酸化炭素は、
年間72億トン(炭素換算)で、それに対して、
二酸化炭素の吸収は、森林が年間で9億トン
海は年間に22億トンだそうですから、
大雑把に言って「72億トン−31億トン=41億トン」、
少なくとも、いまの半分に排出量を減らさないと、
「人類のみなさん、私たちのように絶滅しますよ」
と、この赤ちゃんマンモスは警告しているのかもしれません。
環境サミット、排ガス規制、環境税などを
ただ政治利用、企業利用するのではなく、
たとえば、まずは「赤ちゃんマンモス」ワッペンを
日本人全員がつける・・・
そこから、買い物のエコバッグを使う、
クールビズを実行する、環境チケットを払うなどなど・・・
等身大の環境活動、いや「いのちの活動」を広めたいものですね。


1 http://www.mammoth2008.jp/


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2008年1月25日(金)

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