元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1923回
冬休みに必読の一冊(1)

先日、「国家と人生」(太陽企画出版)
という300ページもある新刊が送られてきました。
いま話題の新・保守派の論客・佐藤優さんと、
ジャーナリスト界の重鎮・竹村健一さんの
ちょっと読み応えのある対談本です。

送ってくれたのは、この出版社の編集長で、
「いのちの手帖」第3号にも寄稿してもらったことのある
斉藤則教さんですが、この本の対談が行われたのは、
たしか、この春のゴールデンウイークの頃、
竹村さんの箱根の別荘だったと思います。

というのは、僕が箱根のプリンスホテルに滞在している時、
対談が終わったあと、竹村さんの別荘に
孫娘を連れて遊びに行き、
たまたま、「いのちの手帖」第4号に、
竹村さんの文章と画家である奥さんの絵を
カラー随想「竹村健一&竹村良子のゆったり画文集」と題して
7ページに渉って掲載していただく依頼もあって
伺ったので覚えておりました。
半年たって、とうとう、本が完成したというわけです。

作家で外務省事務官(起訴休職)である
佐藤優さんの国家論の本は、
いまや出版されれば、
直ぐ重版でどれもベストセラーとなっていることは、
とくに大学生や若いビジネスマンの間で評判で、
みなさんも読んだ人が多いと思います。

佐藤さんの本については、このコラムでも
第1713回で【ラスプーチン流「読書法のすすめ」】と題して
「国家と神とマルクス―」を紹介し、
マルクスから、バルト神学から、はたまた、
北畠親房、大川周明まで、自らが蓄積してきた知的財産と、
持ち前の強靭な精神力を駆使して、
博覧強記ともいうべきエネルギーで
「国家の意思とは何か?」――、
ずばり、揺れ動く日本の心臓部に
鋭利なメスをいれたわけだから痛快だ――、
その面白さは、ユニークな「国家論」そのものだけでなく、
著者の桁はずれの読書力にある。
その強靭な精神性を支える
“佐藤優という「いのち」”のエネルギーの秘密が
隈なく明かされているところだ――、
とくに、東京拘置所に置かれた512日間に、
聖書、神学、哲学から歴史書まで、内外の難解な学究書を
250冊余り読破した読書力には圧倒される――、
と、感想を述べたことがありますが,
今回の対談集も、
佐藤優さんの博覧強記には驚くしかありません。

ロシアに関する防諜戦や外務官僚の実態の体験談、
そして佐藤さんの驚異的な読書力から分析される憲法から宗教、
そして、これからの日本の国家のあり方について
話が展開されている本ですが、
相手が、テレビのパーソナリティとして
ベテランの竹村さんとの対談というわけで、
タイトルどおり、「国家」論が、
読者ひとり一人の「人生」観に結び付けられて、
じつにスムーズに読んでいけるのが、
この本の特徴だと思いました。

国家論というと、たいていが、
欧米の借り物の論理をもったいぶって振り回す
論文や主張が多いわけですが、
欧米、ロシアをはじめ国際情勢に精通する二人が、
天皇制、神道から憲法改正までを、
日本の連綿たる歴史の襞のタブーを破って説き起こし、
これからの日本人が構築すべき「全体」と「個」の調和について、
お互いに、主張をぶつけ合う、
最後の「第7章」が圧巻だと思います。

この年末年始休みの必読の一冊としてお勧めします。
この本には、次の時代を読み解くキーワードが
玉手箱のように詰まっていますが、そのひとつに「ケミストリー」
という言葉が出てきます。
直訳すれば「化学」ですが、
本来の使われ方は「化学反応」、
いや「触発」という意味だそうです。
読めばきっと頭脳だけでなく、
あなたの身・魂・心の全体が振るえるように、
「ケミストリー」されはずです。


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2007年12月2日(日)

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