元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1791回
西洋医学では病気は減らない

スローヘルス研究会の仲間で、
僕の40年来のジャーナリストの友人である
樋口栄一さんから、一冊の医療本が送られていました。
ガン・アトピー・難病の治療には
西洋・東洋・心身医学の統合療法

(飛鳥新社)という題名ですが、樋口さんが
この本を編集構成したので、送ってきてくれたようです。

読むと、西洋医学だけでなく、
とくに安保徹教授の「自律神経免疫療法理論」に賛同して、
さまざまな代替療法や免疫療法、心身医学を併用して、
大病院では見放された患者の臨床治療をしているようです。
最近、大病院は、国家の医療財政の赤字にともなう医療改正で、
ますます、薬漬け、
検査漬けの西洋医学治療に邁進していく傾向があり、
ガン、アトピーをはじめ、鬱病や糖尿病などの生活習慣難病から、
患者をなかなか救えないのが現状です。
患者も、そうした西洋医学の限界に気づいてきて、
東洋医学や伝統療法、さらに西洋の自然療法などを併用して、
なんとか延命を続ける人が多くなってきました。

また、多くの開業医の中では
少しでも患者や家族に朗報をもたらそうと、
西洋医学だけでなく、この本の医師のように、
可能性のある療法を組み合わせる統合医療を旨とする
病院が増えてきているようです。

たとえば、この本には末期ガン患者の臨床例が載っています。
一部は以下のようなものです。
●余命1ヶ月の大腸ガン手術後、
肝臓・肺にガンの転移が発見されるも8ヶ月延命
●余命2週間の肝臓ガンの腹水がとれた
●余命10日の末期子宮ガン、
肺・腹膜リンパ転移、胸水、腹水が3ヶ月延命・・・・
こうした大病院では治療法がないと見放される患者にも
免疫強化療法、利尿剤、半身浴、里芋湿布、ビワの葉温熱療法、
そして絹と綿の靴下履き・・・などを組み合わせて
いろいろな効果を挙げたというのです。
また、SGEという30種類のミネラルを含む
自然鉱石の温浴療法なども併用する療法も紹介されています。

僕は、この本の著者である
九州大分の松山病院の松山家昌医師という方は
存じ上げていませんので、良し悪しは判断できませんが、
この医師の考え方は、ホリスティックで
注目すべき点があると思います。
後書きで、以下のようなことが書かれています。
「わが国のこの百年間の医療制度や治療法について総括すると、
第一に残念に思うことは明治政府が
明治7年に東洋医学の鍼灸禁止令を公布したために
鍼灸治療が迷信扱いされ日蔭の存在を余儀なくされたことである」
として、医療制度や治療の百年の計を誤ったことに
問題があると指摘しています。その通りだと思います。

ともあれ、
この本は安保徹教授の免疫理論や独自の温熱療法についても
じつに平易に書かれていますので、
複雑な「統合医療」の仕組みがよく理解できます。
おそらく、この本の編集構成をした
ライターの樋口栄一さんの
リライト力が作用しているものだと思います。

医療本作りも、自らが大病を経験した人と
そうではないライターや
編集者の作ったものは出来が違うように思います。
患者の僕などは、医療本を読むと、すぐにその違いが分かります。
ちなみに、樋口栄一さんは、
「いのちの手帖」第3号にも、自らが長いこと患った
複雑な糖尿病との闘病記を寄稿していますから、
これだけの分かりやすい「統合医療」の本
出来上がったのではないかと思いました。
「久病良医」という医療古言がありますが「久病良筆」です。
まさに長患いを経験し上手に克服した患者は
「よき書き手」でもあります。
では、ライターの樋口さんは、どんな難病克服を体験したか?
明日から、少し紹介しておきましょう。


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2007年7月23日(月)

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