元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1771回
「癌」と「欝」について

まえに、このコラムで「腰痛は脳の勘違いだった」(風雲舎)
という新刊を紹介したことがありますが、
ガンに限らず、腰痛やらアレルギーやら不定愁訴やら、
いまの大学病院の治療では手に負えない、
慢性病が蔓延しています。

これは過食長寿時代の典型病だといってしまえばそれまでですが、
現実に、腰に鈍痛が走る、体中が痒い、頭痛が頭が壊れると、
不快の日々を送っている者にとっては必死です。
なんでもいいから、
魔法の薬や奇跡の治療法はないかと探しまくるものです。
しかし、洋の東西の医学を問わず、
売薬業者や民間治療師が喧伝する代物でも追いつきません。
この地球上に、一発完治の薬も、神の手もないことを、
多くの患者がだんだん分かってきているわけです。

中国の故事に「久病良医」という言葉があります。
長患いをした患者こそ優れた医者である――、という意味ですが、
自分の体の調子、わが身のいのちについては、
患者自身が一番わかっているわけだから、
切り傷や感染病なら別ですが、
いわゆる慢性難病は、
長く時間をかけて養生を工夫していく以外に、
その地獄から逃れる手はないというわけです。
食事、漢方、気功、散策、音楽、瞑想、そして読書といった
“身・魂・心丸ごと”の攻めの養生法を併行し、
わが身にあった健康設計図を
いつも書き換えていく以外に手がないのです。
僕にしても、ガンで9年、腰痛で30年、
鈍痛や心痛をいっしょに、
何とかなだめながら過ごしているわけです。

先日、敬愛するジャーナリストの先輩で、
往年の「少年マガジン」名編集長、講談社の元常務であり、
いまはソニーの顧問をされている内田勝さんから、
病気見舞いの返礼を兼ねて「病床楽吟50首」
という手紙を届きました。、
じつに磊落な思索家の内田さんらしい、
味わい深い短歌がぎっしり詰まっているのです。
その中から、いくつか引用させてもらましょう。

「愚なるかな万本の煙草千升の酒
地獄の淵へ猪突猛進」

30代〜40代のモーレツ時代、亥年生まれの性格の故か、
地獄が大口を開けて待っているのもものかは、
ただ猛進するのみの日々であった。
“愚なる人生”、また楽しからずや――と解説つきです。
そして
「癌治療最前線は真っ二つ
西洋医学派VS自然治癒力派」
と、3クールにわたる抗ガン剤治療の傍ら、幻のキノコやら、
いろいろな養生を工夫していく様子が、
まさに「楽吟」として続きます。

慢性難病から快癒を得るには、
この「楽吟」を読むだけで納得できます。
小難しい医学理論や医師の説教を聴かなくても、
「久病良医」の実践こそがパワーであることが教えられるのです。
さらに、秀逸なる歌が一首、気になりました。

「癌なる字読みも字面も凶々(まがまが)し
欝という字と双璧をなす」

う〜ん、絶妙なる一首と思いませんか?
この含蓄に富む内田さんの「病床楽吟」の続編は、
次号「いのちの手帖」
第4号(9月発売)に寄稿していただきますので、
楽しみにお待ちいただきたいと思いますが、
なるほど、慢性難病には、大抵、おどろおどろしくて
凶々(まがまが)しい漢字が冠せられることにも驚かされます。
「癌」と「欝」――
まさに、古来から、われわれ人類を悩ませてきた因業病ですね。

というわけで、明日は「癌」と双璧をなす、
「欝」病の話について書きましょう。


←前回記事へ

2007年7月3日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ