元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1766回
またまた帯津医師の新刊書

僕は敬愛する主治医の帯津良一先生のことを外国人に紹介する時に
「ドクター・マンスリー・オビツ」と
ジョークをこめて紹介することがあります。
「月刊帯津」という意味です。
とにかく、診察の合間を縫って原稿を書くのが趣味のような人で、
毎月のように著書が出版されるので、
敬意を表してこう呼ばせていただいているわけです。

まえに、このコラムでも紹介させてもらいましたが、
作家の五木寛之さんとの共著「健康問答」がベストセラーとなり、
患者を機械修理のようにしか扱わない西洋医学に疑問を呈し、
いわゆる「人間丸ごとを診る」ホリスティック医療の真髄を、
平易な話術と、痛快な人生エピソードを交えて、
しなやかに成し遂げた、
まさにこの長寿難病時代にぴったりの健康問答集でした。
みなさんの中にも、すでに読了して、
病気や健康の発想を変えたり、
また、生きる勇気をたっぷりと貰ったという方も多いと思います。

その「月刊帯津」さんから、またまた最新刊が送られてきて、
ますますの健筆ぶりに改めて驚かされたわけです。
タイトルは「まるごと〈健康〉」(春秋社)――。
表紙の帯には「真の人間的健康法の福音書」といった
作家・五木寛之さんの推薦文が寄せられています。
目次は以下のようなものです。

         *

序・師との生と死から
1・わが青春の両輪
2・食養生と生命の場
3・本当の健康とは何か
4・病の効用
5・老いてこそ
6・希望を処方する医師
7・人は死ねばゴミになる?
8・本来の自分に還る
9・「人生の旅情」をかきたてる教育、そして愛
10・ユーモアと「幽黙」
11・気功と呼吸法
結・ホリスティックという理想

         *

このコラムの読者の皆さんの中にも、
帯津医師のいろいろな本を読んで、
「人間丸ごとの医療=ホリスティック医療」の理論について
賛同している人は多いと思います。
ちなみに、この新刊でも、
「洋の東西を問わず、人間のレベルでなく
その下位層にある臓器レベルで診る医療には限界がある」――、
「身体性、精神性、霊性の三つが渾然一体となった
人間まるごとを診る医学を新たに作り上げることが必要だ」――、
健康医療革命ともいうべき
ホリスティック理論が平易に綴られていますが、
この新刊の読みどころは、もうひとつあります。

理論書というよりは、先生の理論形成、
人生設計に多大の影響をもたらした人生の師友たちとの交遊、
いや帯津医師の「人生の旅情」をかきたててきた人たちとの
「人間丸ごとの生命場ドラマ」がくまなく、
書き綴られているところです。
ここがこの本の魅力です。

ちなみに、ことしの「スローヘルス研究会」の新年会の講話で、
帯津医師は「ことしの私の医療のテーマは『旅情』です」として
文豪・夏目漱石の言葉を引用して、
人間丸ごとの処世の立脚点について、
次のようにメッセージを送っていました。
「死んでも自分はある。
しかも本来の自分には死んで初めて還れる。
それぞれの『理想の大道』を行き尽くしましょう。
みなさん、『人生の旅情』を大切にしていきましょう」と。

もちろん、この著書の中に、
帯津医師の70年の「人生の旅情」をかきたて、
大いなる生命場を共有してきた
魅力的な人物が、次々と登場します。
伊那谷の老子・加島祥造さんの名言――、
「よろこんで朽ち果て、
万有の中に崩壊していしていく」に始まり、
それを実践するように大往生された太極拳の総師・楊名時さんとの
「さわやかな旅情」の思い出から始ります。


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2007年6月28日(木)

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