元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1616回
帯津良一博士の「年頭講話」

「スローヘルス研究会」の新年会の話の続きです。
100人近い参加者を迎え、3部構成の進行で
懇親・講演・食事の立食パーティが開かれたのですが、
今回は第2部 帯津良一先生の年頭特別講演の
演題=いのちの時代!心のトキメキ!=について
紹介しましょう。

 *

ことしの私の医療のテーマは「旅情」なんです。
こういうと、何のことか分かり難いかもしれませんが、
さて、私が病院を開設してから、四半世紀、
ことしで25年目になりますが、
病院では、毎朝、患者さんと個性にあった
治療方針を決める「戦略会議」を開いています。

まず、患者さんの顔を見て、心の持ち方について話します。
とくに中国医学の気功や漢方の処方をやりますと、
人の顔を見ることが大切なのです。
患者さんの顔を見ると心の中が見えてきます。
いま病院では、何人かの専門スタッフと
心理療法のチームを作っていますが、
これは大変時間のかかることですが、
これこそ、ほんとうの医療だと考えて続けているわけです。

患者さんには、「まなじりを決して、
ガンをやっつけようと思うならそれもいいですが、
なにはともあれ『心トキメク』ことが大切です」
と申し上げております。
心トキメク、小さな爆発を起こすからこそ、
「いのちの場」が躍動するわけで、
フランスの哲学者、アンリ・ベルクソンの言っているように
いつも心に「感動の小爆発」を起こすことが、
いのちのエネルギーを高めることだと思います。

それも、
大爆発ではコナゴナになってしまうでしょうから、(爆笑)
日々、「小さな爆発を起こしましょう」と
患者さんにすすめているわけです。

先日、NHKの「ラジオ深夜便」に出まして、
題名が「輝け熟年」でした。
番組担当のアンカーが
「先生はどういうときにトキメキますか?」と
質問してきましたので、とっさに
「カツどんにときめきますね。
これが私がトキメクときです」といったんです。(爆笑)

私は、仕事が終わると、行きつけの蕎麦屋さんで、
息抜きに、ビールをコップ一杯と
そばを食べに行くのですが、
最後になると、つい「カツ丼、下さい」といってしまうんです。
あのカツ丼の香りやツヤに心トキメクからです。(爆笑)
そうしたら、アンカーが、
ほかにトキメクときはないですかといいます。

というわけで、
文芸春秋から「夏目漱石」の原稿依頼がきたときに
ときめいた話をしました。
原稿依頼というと
大抵が医療やガンの話ばかりですから、
私の大好きな漱石について書いてほしい
というのでトキメキました。
さらに、ほかにトキメクことは?と
畳み掛けられましたので、
「伊那谷の老子」といわれる加島祥造さんを
信州伊那谷に訪ねたときの話をしました。

加島祥造さんは、1923(大正12)年生れで、
横浜国大、信州大学などで教鞭をとられた英米文学者であり、
詩人、画家ですが、老子に関する著書もたくさんあります。
その加島さんが
「トキメキとは女性に恋をすることだ」というのです。
加島さんいま83歳です。
枯れていません。
自信がありますという。
それは「不倫になりませんか?」
とジョークを飛ばしましたら、
そう、大げさに考えないでいい。
女性が好きになることが、
トキメキですというのです(爆笑)。


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2007年1月29日(月)

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