第1581回
論より証拠の「玄米菜食」
もう5年前に、
「文」(公文教育研究会 2001年夏号)
という教育雑誌に書いた僕のエッセイ、
「命綱としての石塚左玄」に書いた「食育」のすすめ――、
僕が玄米菜食でガンの再発を防いだ体験談――
その話の続きです。
*
ところで、わが命の実験から判断して、
玄米食がなぜ優れて病気に効果があるか?
つまり、なぜ「食は病を医す」かといえば、
玄米食は体のバランスを取り戻し、
やがて自然治癒力を呼び戻すからである。
論より証拠である。筆者は三年間、
(*執筆当時はガン闘病3年目)
この玄米食を励行し、
癌を抑え込んでしまったばかりではない。
毎日が「快食快眠快便」で、
長年悩んだ下痢もおさまり、
すっかり「体質革命」が
五臓六腑に起ってしまったのである。
150年前の石塚理論は、
大学病院の治療より的確に
命綱となったわけだ。
もちろん、陰陽という万物生成と自然調和に基づく、
養生法の実践は食事療法に限らない。
漢方療法も呼吸療法も日々実践している。
たとえば、百歳になんなんとする
スーパードクター・塩谷信男さんが提唱する
正心調息法という腹式呼吸も
「無限の宇宙力」との調和を図る呼吸法だ。
(*塩谷信男さんは今年、105歳の長寿)
百歳の壮健なる長寿者が
「論より証拠」を説くわけだから、
いったい、どの西洋医学の高名な医師が
勝てるというのだろうか。
大気という自然の恵みの大切さを
しみじみと学ばせてくれる。
穀類、根菜類という
天然自然の恵みを享受する、
石塚の食事療法の理念と相通ずる養生法である。
作家・遠藤周作に「心の海を探る」という
優れた対談集がある。
その中に自然治癒とか気功を
超能力と早とちりしてはいけない。
人間の体は、宇宙の因果律という
生命の根源に外気が繋がっているから、
「人間は気の器」と考えた方がよい。
また、ユングのシンクロニシティ(共時性)も
たとえにあげながら、
この人間の本性、この命の不思議こそ、
ニューサイエンスの課題だと語っている。
さらに、石塚左玄を遡ってみよう。
三百年前、貝原益軒の「養生訓」は
「病は口より入り、禍は口より出ず」といい、
千年前の日本最古の医学全書「医心方」で、
鍼博士の丹波康頼も
「百病の生命を脅かすものは多く飲と食による」という、
陰陽調和、自然調和のメッセージを後世に伝えている。
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