元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1535回
現代人は「食べ過ぎ病」だ

10月24日に新宿・明治安田生命ホールで開かれた
「海の精」株式会社の30周年記念講演会の話の続きです。

服部 幸應さん(服部栄養専門学校理事長)の次に
登壇したのは、石原結實さん(イシハラクリニック院長)です。

石原結實医師といえば
東洋医学や欧米の自然療法を研究している医学博士で、
断食健康法やにんじんジュースによる難病、
慢性病の治療法では有名。
『病は冷えから』『血液をサラサラにする健康法』
といった著書もたくさん出しておられます。

「80年前は、医者が13万人、ガン患者が13万人でしたが、
いまや医者が28万人というのに、
ガン患者が30万人を超えています。
国家予算80兆円のうち、医療費が30兆円というほど、
ガン、心筋梗塞、脳卒中、・・・と生活習慣病が増えている。
特に昭和35年(1960年)以降、肉や乳製品の摂取量が欧米化し、
白米、精白糖といった白食品に偏ったために、
病気のタイプも欧米化した。
日本人は腸の長さにしても、欧米人とは違うのだからから、
とにかく食事の.改善が治療の柱です」

「生活習慣病や半病人状態になる原因は、
はっきりいって「食べ過ぎ病」です。
減食生活を心がけ、体を温めて、過剰水分の排出を図ると、
細胞レベルから活力が高まり、
身体の芯からの健康を得られるものです」
と、ユーモア混じりで持論を展開しましたので、
しばし、会場は爆笑の渦に包まれておりました。

期せずして、日本人の食の危機、
さらに広い意味での「食育」の必要性が、
服部さん、石原さんという、
ふたりの講師から熱心に指摘されたわけです。
というわけで、前回も解説しましたように、
食育基本法が出来た素地があったのでしょうが、
この条文をよく読むと、どうもエリート役人が作った
「総花的論文」といいますか、
「画に描いた餅のような作文」のような趣きで、
現実的には問題点がたくさんあると、僕は思っています。

食育基本法の冒頭の「附則」には、
「国民一人一人が『食『』について改めて意識を高め、
自然の恩恵や『食』に関わる人々の
様々な活動への感謝の念や理解を深めつつ、
『食』に関して信頼できる情報に基づく
適切な判断を行う能力を身に付けることによって、
心身の健康を増進する健全な食生活を実践するために、
今こそ、家庭、学校、保育所、地域等を中心に、
国民運動として、食育の推進に取り組んでいくことが、
我々に課せられている課題である」
として、まるで他人事のような
美辞麗句で綴られているのが気になります。

予算措置も微々たる物でしょうから、
とても政府が本気とは思えません。
もっと、服部さんはもちろんですが、
石原医師や、幕内秀夫さんのような
「食育」実践派の人たちの意見を多く取りいれて、
一歩、現実に踏み込んで、
「医・薬・食業界」の構造改革にもメスを入れる、
そうした気概のある姿勢表明が必要だと思います。
メタボリック症候群しかり、ガンしかり、はたまた、
食料自給率しかり、学校給食しかり・・・です。

もちろん、これからの医学セミナー、健康セミナーでは、
ただ大病院や薬業者、行政サイドのいいなりで繰り広げられる、
最新の薬と医術で「ガンが治る」式の、
単純な「医学」や「薬学」の話では満足できなくなるでしょう。
医食同源の「食用学」ならぬ「食育」の話が広がるはずです。
なぜならば、患者だけでなく、
とくに子育ての母親、そして多くの健常者も、
「食生活こそ健全な人間を育てること」に、
痛感している時代だからです。


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2006年11月9日(木)

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