元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1493回
「いのちの手帖」は心の青年雑誌

このコラムでも、まえに、
わが「孫ボケ」「孫バカ」奮戦記
を書いたことがあります。
僕は66歳を超えましたので、人口全体からいえば、
まさに立派な“爺さん”の部類に入ります。
しかし、こうした世代は、巷でぶつかるほどゴロゴロしていて、
老人といっても、
まだまだ“若者老人”“青年老人”といった風情の
じつに不思議な老人族なのであります。

実際、10年後の2015年には、
65歳以上の老齢人口は3100万人、
全人口の25%を超える、
つまり4人にひとりが老人ということになりますから、
60歳、65歳を超えても、ガンだ、糖尿病、心臓血管障害だ、
あるいは骨粗しょう症だ、鬱病だ、
性的機能不全、視覚聴覚障害だ・・・と、
ただ老人ぶって、忍び寄る身体的な老化に、
手をこまねいてはいられないというのが
現実ではないでしょうか?
ですから、いくら公私の保険制度が整っているからといって、
60歳を過ぎたら、ひたすら“病院のはしご”に励むといった発想は
じつに長い人生設計を間違えるもとなのです。

だんだん、あっちが痛い、こっちが苦しい、
頭がボケてきたと、悩むことはまぬがれませんが、
そこをしたたかな知恵と、しなやかな知性を使って克服していく
“攻めの養生”“しなやかなライフスタイル”が、
長寿時代に必須の処世学であり、
ホリスティックな患者学であり、これからは、
健常者、患者を問わず、
こころして心身のスローヘルスを心することが大切です。

ところが、老齢化問題というと、どの新聞や雑誌をめくっても、
老人介護施設と組織のシステムの話ばかり、
もちろん、いずれは、ちょっと抵抗があっても、
これからは家族の介護疲れなどから
老人ホームなどのお世話になることが
避けられないでしょうが、それを当然のゴールと考える前に、
なんとか、10年、20年、30年を、スローペースながら、
ほどよく「よい時間を長く持つ」知恵をめぐらすことが、
3000万人の「青年老人」と
「青年老人予備軍」のしたたかな処世だと思います。

僕たちスローヘルス研究会とは
ガン患者を主体とした組織ですが、
ガンをただ不治の魔病とおののいて、ガン病棟に長居し
まるで機械の修理のような無残な治療に身体を任せるのではなく、
なんとか、「より長い時間を快く」という、心の高まりを大切にして
心身を丸ごと養生していこう・・・
これを処世観として貫いている人たちが集まる
スローヘルス・サロンです。

僕たちの会員雑誌である
「いのちの手帖」を手にとって読んでいただいた方なら、
分かっていただけると思いますが、
登場する寄稿者の文章は、
ただこのガン新薬でガンが治った、
家族をガンで失って辛かった・・・といったいわゆる
闘病記をしたためたものだけではありません。
それぞれのエッセイには「より長い時間を快く」という、
心のときめきと、
それを皆で共有したいという「スローヘルスの知恵」、
さらに、それぞれの「いのちのメッセージ」が
こめられているために、
こうした小さな雑誌でも多くの読者のみなさんから、
購読の申し込みがひっきりなしに来るのだと思っています。

また、いま発売中の「いのちの手帖」第2号には、
患者と家族の闘病エッセイ集としてだけでなく、
90歳を超えて、じつに、
ゆったりイキイキ、パワフルに「青年老人」を実践した、
ふたりの実業家=松下幸之助さんと渋沢栄一さんにかかわる
秘話エッセイも寄稿していただきました。

季刊「いのちの手帖」とは
「かわいそうな患者の闘病集」などという
偏狭な先入観を持たずに読んでいただければ幸いです。
40歳を過ぎて「脳を活性化させる」工夫も
スローヘルスの極意と思うからです。
いま「いのちの手帖」は、この長寿災難時代に
もっともパワフルな「心の青年雑誌」だと自負しているわけです。


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2006年9月28日(木)

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