元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1469回
「いのちの手帖」が世界に広がる

いま発売中の季刊「いのちの手帖」第2号には、
著名な作家やジャーナリストによる
「元気で長生き」のヒケツを語るスローヘルスな随想、
さらに、3年、5年、10年、15年と、
じつに賢く危機を乗り切ってきた
キャンサー・サバイバー(ガン生還者)の方かちからの
いのちの体験記録を一冊まるごと収録した
いわば“心のマッサージマガジン”です。

ちなみに、ガン闘病体験録というと、
いかがわしい健康食品業者が捏造した?
“ガン・バイブル本”出版が事件となり、世の顰蹙を買いました。
また、新聞や一般雑誌に載る、
多くの闘病記も、患者が喋ったものを
記者の目でリライトするという、
いわゆる「第3者による語りが書き」という代物が氾濫しています。

しかし、これでは、ガン患者や家族の思い、人生観が
ほんとうに伝えられていないのではないか?
僕も多くの雑誌や新聞で取材を受けた体験から、
そうした不満と不安を抱いておりましたから、
「いのちの手帖」では、すべて、自らの手で書いて頂いた
「正真正銘の手記」だけを収録しようと考えたわけです。

南は九州、四国から北は東北まで、
患者のみなさん、ご家族の方々、
全国各地からたくさんの寄稿をいただいていますが、

「いのちの手帖」第2号には、
スイス在住のご家族・佐々木舞さん、
知日派のフランス人・エッセイストA・キャラビさん、
そしてカリフォルニア在住で、乳ガン、子宮ガンからの
キャンサー・サバイバーのイディス・シーさんなど、
世界の各地からも、貴重なエッセイをいただきました。

いま、元気にゆったり過ごそうという、
スローヘルス患者学=創造的延命学という
しなやかな発想が、じょじょにですが、
地球規模で広がっていることになります。

それぞれに文章も愉しんで工夫して頂きました。
しなやかに患者や家族が本音を書き記す
おそらく、日本で始めての、“いのちの福音書となったと、
ひそかに自負しているわけです。
ちなみに、80歳を迎える、知日派の
フランス人・エッセイストA・キャラビさんのエッセイは
『読んで笑ってスローヘルス・・・目からウロコの「読むクスリ」』と題する、
じつに風刺の効いた処世の戒めを綴った
「箴言エッセイ」です。
日仏対訳の詩的な文章形式で書いていただきました。
一部を紹介しておきます。

           *

French aphorisme!
目からウロコの《フランス箴言集》・・不健康:

Celui qui fume sans se soucier
des au tres devrait savoir que ces autres
ne se soucieraient pas s‘il mourrait avant eux!

今日もまた朝ご飯とお化粧は電車の中

Honte,obligation et compassionsont des mots morts,
alors pour la sante il faudraitque le mot 
”mort pour trop de travail“devienne aussi un mot mort
タバコを吸って、皆に迷惑かけても、知った事ではない人は、
皆その人が早死にしても知ったことではない!

         *

どうでしょうか? ちょっと読みたくなるエッセイでしょう。
「いのちの手帖」第2号もぜひ、多くの方々に、
ゆったりと読んでいただきたいと思っています。


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2006年9月4日(月)

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