第1396回
「心のときめき」が自然治癒力を上げる
「なぜ、気功や食事や心の持ち方が自然治癒力を高めるか?」
気功の達人でもある帯津良一医師の
講演の紹介の続きです。
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いま、とくに医学で遅れているのが「心」の分野です。
ガン治療の土台は「心」――患者さんの心の持ち方にあります。
これがまた大変な分野です。
心は非常に影響力があります。
最近、私の病院で、筑波大学の宗像恒次教授と
村上和夫名誉教授と
私の3人で文部科学省の共同研究を始めました。
宗像先生が開発したサット療法という
イメージ療法がありますが、
私の病院に出張してきて、
患者さんにこの療法を行うのです。
その前後で遺伝子を計ります。
イメージ療法をした前後で、
ガン抑制遺伝子がどのくらい増えるのか――
これを実験するものなのです。
2年間、続けましたが、すばらしい結果の患者さんがでました。
イメージ療法の後、
ガン抑制遺伝子がガーっと立ち上がって、
元気になる人がいるのです。
全員がそうではありませんが、
心の作用を科学的に評価する方法が
だんだんと明らかになってくるわけで、
これには注目しています。
こういう方向に導いていけば、
臨床的にも必ずよい療法となるわけで、
私は大いに期待しているんです。
ともあれ、ガンの治療には、患者さんの心の持ち方が大事なんです。
先ほど言いましたように生きているについては、
希望とか生きがいというものはみんな持っています。
入院してきて、すごく張り切る人もいます。
絶対に病気をねじ伏せて帰りますからと、
始めから闘志満々なんです。
でも、そういう姿勢ではなく、
私が心の問題が大事だと気が付いたのは、
病院を初めて、気功を毎朝やっているものですから、
皆さんの顔を毎朝見ています。
そうすると人の心の中が多少見えてくるのです。
やけに今日は明るいな、
今日どうしてこんなに暗いのだろうとか・・・。
それが、病状におおいに影響していることがわかったのです。
明るく前向きな人は病状が良いのです。
というわけで、
明るく前向きな状態を作るための心理療法のチームを作りました。
ところが、「明るく前向き」といわれる人ほど、
じつは弱いということがわかってきたのです。
病状が悪くなったと告げるだけで、
明るく前向きな人は落ち込むのです。
極端なことを言えば、
「人間は明るく前向きにできていないのだ」
と思うようになりました
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