第1364回
40歳から「人間の魂」が進化する?
僕たちが提唱している
「スローヘルス患者学=創造的延命学」がよって立つ、
基本理論は、「からだ」だけでなく、
「こころ」(MIND)「いのち」(SPIRITS)といった、
人間丸ごとを見る医学=ホリスティック医学の考え方である――、
ホリスティックとはギリシャ語の「holos」(全体)を語源とし、
「いのちの全体のバランスを診る医学」といった意味ですが、
この医学の根源はホーリズム(全体論)という思想に基づいている――
このコラムの第1358回で、こうした話をしました。
なぜ、スローヘルスが大切か?
ということについて、もう少し話を進めます。
それも、とくに「40歳を超えた中高年層」には、
欠かせない考え方という話です。
医学だけでなく、環境学、経済学、そして教育学の分野でも、
何でもかんでも割り切ってしまう機械論というか、
アメリカ式の合理的な二元論の限界を乗り越える、
ホリスティックな発想が見直されています。
いじめや不登校の原因も、社会、自然、そして宇宙全体との
つながりを考えた教育を忘れた結果だという考え方です。
みなさんの中にも「シュタイナー教育」という
幼児教育法を聞いたことがあるかも知れませんが、
これもホリスティックな考え方に基づいています。
このコラムは教育コラムではありませんので、
詳しくは解説しませんが、
ルドルフ・シュタイナー(1861〜1925)という
ドイツの教育者が提唱した教育メソッドです。
興味深いことは、この「シュタイナー教育」は
アントロポゾフィー(人智学)と呼ばれる思想に基づいて、
「知・情・意」のバランスのとれた
豊かな人間形成を目標としていることです。
人智学などというと、
なにやら、オーラだとか、霊魂だとか
すぐ神秘主義思想を想像したがる人がいるかも知れませんが、
そうではありません。
シュタイナーのホリスティックな教育学とは、
以下のように論理的に提案されています。
人間の構成要素は、眼に見えるのは「物質体」だけでなく、
成長力を生む「生命体」、喜怒哀楽の「感情体」、
意識という「自我体」の4つで出来ているから、
この全体性のつながりを見るという考え方です。
「全体は部分の総和以上のものであると考え
あらゆることを相互関連的に捉えていこうとする
全体論(ホーリズム)思想」です。
このコラムは幼児教育コラムではありませんので、
詳しくは解説しませんが、
この人智学やホーリズムについて、
僕が興味を抱いたことがひとつあります。
それは、「40歳を超えた中高年層」にも
とても気になる面白い分析があるからです。
「成人期の発達段階」には3つの流れがあるという考え方です。
人智学(anthroposophiy)では、
人間は(1)身体 (2)精神 (3)魂・・・
の3層によって構成されていると考えます。
そして、以下のように、成長発達するというのです。
(1)身体(生物学的発達)(2)精神(心理学的発達)は、
ともに、20歳頃ころまでに成長し、40歳まで平衡状態が続き、
40歳ころから衰えていく・・・。
それに引き換え、(3)魂(スピリチャルな発達)は
40歳ころから進化する、成長が始まるというのです。
「えー? 40歳からスピリチャルなもの、
魂や霊魂が進化するなんてそんなアホな?」
と思う人が多いでしょうが、
信じるか、信じないかは別にして、
大きな病気をしていのちの不思議を体感した人、
いや、中高年になって若いころに比べると
思考が深まってきたと感じている人には、
ちょっと気になる考え方だと思いませんか?
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