元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1040回
ガンの治療は「牛歩遅々」

ガンの研究開発は「秒進分歩」、
治療は「牛歩遅々」――、
最新ガン治療にまつわる
医療ミスの話の続きです

「患者にやさしい最新手術」といわれた
腹腔(ふっくう)鏡手術、半数が不合格!
というニュースをおさらいすると
以下のようなものでした。

腹腔鏡手術の経験を積んだ医師を対象に、
日本内視鏡外科学会が行った技術認定審査で、
約半数が不合格になった・・・というのです。

2002年に、東京慈恵医大青戸病院で、
腹腔鏡手術を受けた患者が
未熟な医師たちの技術により
死亡したという事件は、
いまだに忘れられないものですが、
これほどまでに、医療現場に“蔓延”しているとは
思ってもみなかったことでしょう。

審査は、手術の記録ビデオを審査員が見て、
カメラや切除器具の使い方や
治療の連携などを総合評価したものだそうですが、
合格率は胆のう摘出が66%で、
胃は49%、大腸は40%、
食道は36%にとどまったというのです。

特殊な器具を扱う、この手術は、
医師の技量が安全性に直結します。
未熟な医師の場合、
東京慈恵医大のケースのように
手術時間が開腹手術を大幅に上回ったり、
逆に患者の体への負担を増やしかねないわけです。

では、こうした最新治療のミスに対する
病院側の対応はといいますと、
新聞を読んでいる限りでは
「結論が出るのは5年以上先だ。
 そのため実施に二の足を踏む病院もあり、
 専門医育成の仕組みづくりが急務となっている」
としか、書かれていませんから、
最新のガン治療開発と
現実のガン治療実態のミスマッチに、
改めて愕然とさせられるわけです。
ガン医学書やガン専門雑誌で絶賛されるほど
ガン治療の最前線はバラ色の未来ではないのです。

たしかに、医師や病院にも
言い分はあるでしょうが、
患者の医療不信はおさまりませんね。
いや〜、僕などは、
やはり「無用な手術は避けてよかった」
ますます
「これからも、最新医療技術の
 理不尽な実験材料にならないように心しよう」
「己の命は己で守るために、
 体質改善の予防策を講じておこう」と
思わざるを得ないのです。

ガンの研究開発は「秒進分歩」、
治療は「牛歩遅々」――、
あなたはどう思いますか?


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2005年7月2日(土)

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