元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第864回
ガン爺さん、筋肉マッチョを目指す?

昨年の暮れの1ヶ月間――、
椎間板ヘルニアを治すために、
毎朝、病院のリハビリ道場に通って、
腹筋と大腿筋、背筋を作る、
いわゆる「筋肉トレ」を続けた話の続きです

僕を担当してくれた
整体師(インストラクター)は頭を茶髪に染めた、
まだ30歳ぐらいの筋骨隆々の青年でした。
この茶髪青年が
底抜けに明るい性格なのには助かりました。

「わー、体が固いですね。
 関根さん、爺臭くなってはいけませんよ。
 これからは腹筋と大腿筋、
 そして背筋をモリモリつけましょう。
 そうすれば、背骨がしっかり支えられますからね。
 これからは“筋肉マッチョ”になってくださいよ、ハハハ」と、
60半ばガン爺さんの尻を叩いて、
マットの上で、毎日毎日、僕を叱咤激励してくれたのです。

もちろん、主治医は西洋医学のマニュアルに忠実に、
MRI(核磁気共鳴法)や
ミエログラフイ(脊髄[腔]造影)といった
最新の検査技術を駆使して、
激痛の患部の状態を調べ、
手術にはいたらなかったものの、
解熱鎮痛消炎剤のロキソニン、
筋弛緩剤リンラキサー (Rinlaxar)などの薬を投入して、
体の外側から、
この複雑な背骨の痛みと歩行の困難を
解消しようとこれ努めたわけです。

さて、こうした西洋医学の治療法は、
緊急の対症療法としては、
効果の高いものですが、
やはり、立ち居振る舞いを
普通の状態に戻すのに役立ったのは、
なんといっても「理学療法」によるリハビリ=筋トレが、
メキメキと機能を回復させてくれたことです。

とにかく、背骨のちょうど中心部に
激痛が走ったわけですから、
いくら大腿筋、腹筋、背筋をつけて
「筋肉マッチョ」になれと、
茶髪青年から明るく命令されても、
はじめはこわごわ、仰向けで足を上げたり、
恐る恐る腹ばいになって
背筋を反り返したりしたものでした。
また、ベキッと背骨が壊れて、
全身に激痛が走ってはたまらんなあと思いつつ、
ともあれ、ガン爺さんはマットの上で
「筋肉マッチョ」を目指して奮闘したわけです。

ま、お蔭で、ダラリと垂れ下がってきた下っ腹や、
お尻のフトモモの肉がだんだん引き締まってきて、
あら、不思議、それとともに、
腰に走る、電気のような痛みも消えて、
うまく前屈出来なかった体が、
しなやかに折れ曲がるようになり、
杖を頼りにしなくても、軽快に歩いたり、
小走りすら出来るようになったのです。
ふ〜ん、人間の自然回復力ってすごいものだ、
生命力の強さってありがたいものだと、
改めて思い知らされた気分でした。


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2005年1月7日(金)

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