第853回
一人ひとりが生命のエネルギーを高める!
新刊「帯津良一のがんに打ち克つ〈いのちの手帖〉」
(帯津良一・監修 関根進・著 二見書房)の
「はじめに」で
帯津医師が書いておられる
「いのち、こころ、からだ」の療法=
代替療法、統合医学、そして
ホリスティック療法の話の続きです。
*
そうして統合医学が成就されたとき、
確実に理想の医学である
ホリスティック医学が見えてきます。
ホリスティック医学は
病というステージにとどまらず、
生老病死をつらぬいて
人間まるごとの医学です。
その理想の医学に到達するためには、
先ずは統合医学を成就しなければならないのです。
さらに水面下では
さまざまな統合がおこなわれなければなりません。
まずは治しと癒しの統合です。
治しは身体性の故障の修理ですし、
癒しは精神性と霊性のエネルギーを高めることです。
さらに治しの基本概念は
病因論(パソジェネシス)、
つまり病の原因を特定することであるのに対し、
癒しのそれは健康生成論(サルートジェネシス)、
つまり常に生命のエネルギーを
高めつづけることにあります。
そこで、病因論と健康生成論の統合も要求されます。
次に治しはエビデンス(科学的根拠)に支えられていますが
癒しはそうはいきません。
そもそも対象である精神性と霊性を
科学がまだ解明していないのですから
仕方がないのです。
だから癒しを支えているのは
エビデンスではなく直観です。
エビデンスと直観の統合も必要になってきます。
そして何よりも大事なのが
患者さんと医療者の統合です。
治しが中心にあった20世紀の医療では、
知識と技術を備えたプロフェッショナルが、
素人が何を言うかとばかりに
睥睨していればよかったのです。
これは本来の医療ではありません。
医療とは患者さんを中心に、
家族、友人、すべての医療者が織り成す“場”の営みです。
すべての当事者が
自らの生命のエネルギーを高めながら
人間まるごとをぶっつけ合っていく。
その結果、共有する場のエネルギーは高まり、
患者さんは言うまでもなく、
当事者一人ひとりが癒されていく。
これが医療というものです。
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