第528回
ガン再発でも希望を捨てるな
ガンが再発したら、どうすべきか?
土屋医師の見解の続きです。
「また、術後、1年以内に出てきたガンを
いくら切除しても、
また出てくる可能性は高い。
短期間に何度も手術を行うのは無意味ですし、
患者さんの体のダメージは大きくなります。
この見解は医者の間でも議論の分かれるところですが、
こちらの症例上では患者さんの延命率も、
QOL(命の質)も高まったという結果が上がっています。
もちろん、患者さんと医者がよく話し合っての上で、
最後は切るべきか、切らざるべきか、
はたまた、
ほかの治療法を選択すべきかを決めるべきことです」
では、再発転移の場合で手術が不可能の場合、
抗ガン剤による「全身療法」はどうなのか?
「再発転移して手術が不可能になった場合、
抗ガン剤の『全身療法』が使われますが、
効き目と副作用を天秤にかけて、
患者さんのQOL(命の質)からみた
メリット、デメリットを考えると、
医者の議論の分かれるところですが、
私はマイナスポイントの方が高いと考えます。
また、局所転移、微小の遠隔転移、播種などの場合、
抗ガン剤などで、ガンを小さくして、
やがて自然治癒力と均衡させながら
維持していく方法があります。
こうして延命をはかる療法を「維持療法」といいます。
とくに、乳ガン、前立腺ガンの場合は、
ホルモンの分泌を抑制する薬・ホルモン療法を使います」
しかし、ここであきらめないことが大切だと
土屋医師はアドバイスします。
「極論とはなりますが、
再発も考え方次第です。
再発ガンは大抵が、手術の前から存在していて、
発見されなかっただけのケースが多いからです。
逆に考えれば、ガンが残ったのに、
ここまで延命していたのがラッキーだ
と考えられなくもないからです。
また、再発したからといって、
すぐ命を落とすわけではありません。
治る可能性や希望は残されています」
最後の最後まで
希望を捨てない気持ちが
自然治癒のエネルギーをもたらすケースが、
意外と多いといいます。
やはり、ガンとは共存する、
治療はスローヘルスで選択する――
これがガン蔓延時代に生き残る賢い知恵なのです。
|