元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第465回
なぜ医師免許は剥奪されないのか?

近藤誠医師の「大学病院が患者を死なせるとき」
という本を読んで考えさせられたのは、
これからは、いかに「執拗な告発」と、
それに伴う「足元からの活動」が、
旧弊を崩し、情報隠蔽勢力を駆逐するか?
こうした将来への小さな予兆です。
もちろん、政界の抵抗勢力ではありませんが、
医療界には患者無視の体質が
岩盤のように平然として立ちはだかっています。

まるで封建時代の主従関係のような医療システムが形成され、
患者の命を守るといいながら、
医師、病院、いや厚生行政は巧みに情報を隠蔽しています。
医療事故にしても医師免許剥奪など皆無に近い状態です。
刑法、民法の軽微罪でトカゲの尻尾切りで逃げまくる…。
こうした医師と病院の野放し状態で患者は安心できるでしょうか?
医師会内部には第3者機関によるチェックといった
抜本改革に乗り出す気配もありません。

絵空事のような医療改革を唱えれば唱えるほど、
トカゲの尻尾切りや刑法の軽微罪でお茶を濁す。
やっと不信な治療にはカルテの開示も
請求出来ることになりましたが、
治療内容の説明責任(アカウンタビリティ)、
納得合意(インフォームドコンセント)や
セカンドオピニオン(第二の意見)は
十分にはたされていません。

慶応大学病院で孤独な闘いを強いられながら、
マスコミの執筆を通じて、
医療の情報開示を迫っている近藤医師は、
いま司法試験にも挑戦中とさらりと綴っています。
これからは
「情報開示も病院の足元から」――なのですね。

医療の過誤、過療を減らすには、
●病院の診療内容を公開する。
●医師の卒業歴、トレーニング歴、治療歴を表示させる。
●医療事故の履歴を公開する。
●論文に製薬会社との関係を記載させる――
などなど、普通の商売なら常識の情報開示が
医療界に成されなければなりません。

情報開示とはいえば、
医師会、医薬業界の情報公開が
もっとも遅れている分野といわれおります。
本を読む限り、
近藤誠医師とは相当、粘り腰の人物なのでしょうね。
今後の情報開示の活動を注目したいところですが、
患者のサイドも意識を転換し、
いわゆるドクハラを撃破しましょう。
くれぐれも「治療で命を落さないように」
情報公開の道をこじ開けるべきだと思っています。


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