元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第372回
便利の代償に命を失う?

病院が「病気を治すより、病気を作っている」…
これが日本人の心身をゆるませている
医療の現実だとしたら許されません。
「日本人は便利を得たかわりに心を失った」と嘆く人がいますが、
いまや「便利の代償に命を失いかねない」ところもあるからです。

僕が「しなやかな玄米菜食」
「ガン患者よ、ドクハラと闘おう!」といった本で
日本人が誇るべきマクロビオティック玄米菜食をすすめたり、
高蛋白、高脂質、高砂糖の過食に警告をならし
命を拾うスローヘルスのすすめを書いているのは、
日本人全体が抜き差しならない、
命の危機に巻き込まれているからです。
長寿難病社会にはよりしなやかに整えられるべき
「医食財」が、
いまだに高度経済成長志向、
明治以来の富国強兵志向のシステムから
脱していないからです。

たとえ長生きしても薬まみれ、チューブまみれで生かされて、
なんの幸福感があるでしょうか?
僕たちが提唱する「スローへルス」(しなやかな健康法)とは
いわば近代130年の強兵発想を見直す、
ライフスタイル革命のキーワードなのです。

「飽食」ゆえに、
これ以上、日本人の心がゆるみ、
体がたるんでいくことはゆるされません。
繰り返しますが、
この“心身の飽食病”から脱するには
近代130年の「医食財」システムの見直しかありません。

たしかに「医は事業」「お金儲け」の面もありましょうから、
僕たち患者が期待しているスローヘルス治療、
つまり、人間の心身全体を診るトータルケア、
たとえばホリスティック医療、
中西医結合治療といった
治療発想が組み込まれることは
一朝一夕には難しいでしょうが、
患者には明日の命がないのです。
ですから、まず医師に先駆けて、
患者サイドが近代130年の富国強兵式の医療、
いや「なにがなんでも体力増強」志向
という呪縛から離れることが必要なのです。


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2003年9月3日(水)

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