第356回
女性は「産む道具」じゃない!
逸見晴恵さんが、元フジテレビの名アナウンサーで、
夫・政孝氏の10周忌を記念して、
「黙っているのもうやめた」(日本医療情報出版)
という本を執筆しているころ、
ちょっと雑談したことがあります。
「たしかに産婦人科での診察は恥かしさが先に立ちます。
しかし、こと子宮ガンについては、
早期の検診で防げるのですから、
男性婦人科医のみだらな視線や、
セクドクハラにめげずに、
30歳になったら、女性はどうどうと検診台に上るべきです」
と勇ましいことをいうではありませんか?
僕は昔、大股開きの検診台に上り、
下半身麻酔で悪性脱肛痔の手術を
数字間受けた、自慢にもならない経験がありますから、
この屈辱的体位の恥かしさや悔しさは
分からないではありません。
しかし大学病院でぞろぞろと居並ぶ、
教授や子分の若い医師たちの視線を浴び、
また顔を仕切られたカーテンの向こうで、
どんな治療をされているのか?
どんな写真を撮られているのか?
女性には耐えられない時間でしょう。
夫のガン、そして自らのガンを乗り越えることによって、
体験的に「ドクハラ治療」に勝つには、
医師を責めるだけでなく、
患者自らの意識や発想を変えることが大切だと覚悟する、
逸見さんは、賢い患者になったのに違いありません。
ある日、週刊金曜日という編集部のKさんから、
「ドクターハラスメントの女性編」を特集したいので、
誰か対談の適任者はいませんか?という問い合わせがきました。
とっさに、僕は逸見晴恵さんの名前を思い浮かべて紹介しました。
それが「女性は『産む道具』じゃない」という
8月1日号の対談です。
お相手は女性の健康と幸福を手助けすることを目指す、
産婦人科医の対馬ルリ子さんでした。
医学博士でウイミンズ・ウエルネス銀座クリニック院長で、
「女性外来が変える日本の医療」(築地書館)の著者でもあります。
対馬「女性が置かれている状況が理解できないと、
セクハラ、ドクハラになっちゃう」
逸見「私は強い患者だから、
きちんと説明してもらって納得しないといやなんです」
さあ、命を守り、幸福を掴むにはどうすればよいか?
この不安と疑問にズバズバ答えた対談ですから、
読みそこなった人は週刊金曜日の
バックナンバーを注文してでも一読を薦めます。
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