第260回
合わせて165歳の「夫婦の知恵」
子宮ガンと闘うニューヨークのGさんは、
抗ガン剤治療の疼痛にも負けず、
家庭では新婚早々のご主人と、
マクロビオティックの料理にも舌鼓を打ち、
まさに「夫唱婦随」の養生を励行しています。
これぞ、患者の心を支える
最大の良薬となりますから、
もし、ガンと宣告されたら、
1人で悩むのではなく、夫婦協力して
ライフスタイルそのものを
スローヘルスに改めることに心してください。
僕の家庭でも、5年間、挫折することもなく、
玄米菜食法を続け、延命してきたのは、
ガンの夫だけでなく、リウマチの妻が率先して
マクロビオティックの料理を習得したお蔭だと思います。
「夫婦の支えは最大の良薬」という話といえば、
まえに「毎日が、いきいき すこやか」(小学館)の著者・
鮫島純子さんがご主人を看取った話を書いたことがあります。
ご主人は85歳で食道ガンで亡くなったのですが、
手術を避けて、新緑の奥入瀬へ、箱根の山荘へ、
紅葉のときは京都へ家族旅行をしたり、思い残すことなく、
1年半をゆったりと過ごしたそうです。
最期の二週間は、食事が通らず、
水だけで過ごしたそうですが、
懇意にしている台湾の漢方医の荘淑旅さんからも、
「水だけのためかえって痛みがないのです」と診断されたそうです。
つまり、病院なら、
決まってリンゲルを打ったり、
胃に穴をあけて栄養点滴を施したりしますが、
これが腹水を溜めたり、
体内に老廃物やガスを溜めるために、
病人は最期まで痛みに悩まされるというのです。
自然に任せた養生法を心がけたために
心の平安も得ていたのでしょう。
「長い人生をここまで幸せに生かせてもらったことに感謝しよう」
「僕は仙人になります」といって穏やかに亡くなったそうです。
中国に「知足仙境」という諺がありますが、
なんと素晴らしい命のまっとうの仕方ではありませんか?
まさに仙境、合わせて165歳!
しなやかなご夫妻が編み出された
「養生の知恵」「人生の秘伝」というわけです。
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