第170回
分子標的抗ガン剤・イレッサを信頼できますか?
末期肺ガンの「特効薬」と言われたイレッサが、
200人の治癒例を発揮した反面、
どうして120余名の死者を出したか?
それについて、実際に治療で効果を上げた
土屋医師に舞台裏と見解を聞いてみました。
Q:薬の認可を急いだ事に問題があったのでしょうか?
「臨床試験で間質性肺炎の事例が少なく、
メーカー側であまり問題視されなかったようです。
私はこれがきっかけで、厚生労働省にブレーキがかかり、
新薬の認可が遅れるようになることのほうが、
将来の医療のあり方として
心配かつ大きな問題だと思っています。
医者側もびびってしまい、
イレッサを使わなくなった医者も多いと聞きます」
Q:厚生労働省の薬認可のシステムを
どう変えたらいいと思いますか?
「民間の中立的審査機関を並立させるべきと思います。
昔、MR( Medical Representative医薬情報提供者)から
薬の認可の順番は賄賂の額次第と聞いたことがあります。
薬害AIDSのように
官僚と製薬会社の癒着は、
もはや打破するのは難しいのではないでしょうか」
Q:ではイレッサの問題点は何ですか?
「これはあまり言われてませんが、
イレッサの剤形は250mgの1種類しかないのですが、
私はこれが問題だと思うのです。
というのはこの250mgが
本当に妥当な投与量か疑問だからです。
実は、250mgと500mgの投与比較試験のデーターでは
500mgの方が、効きが悪かったのです。
なのに、125mgや100mgとの比較試験は
行なわれていないのです。
もし、メーカーは高くたくさん売りたい一心で、
250mgの一剤しか作らなかったとすれば、
問題はここにあるでしょう。
仮に50mgと25mgの剤形があれば、
色々な投与量が調節可能になり、
場合によっては、
イレッサの投与量を減らすことによって、
間質性肺炎を回避できたかも知れないのです」
医療サイドの言い分はわかるのですが、
厚生労働省にしても、製薬会社にしても、
もう少し抗ガン剤についての情報公開が計られるべきではないか?
これが一人の患者としての
イレッサ事件へ素直な感想と不安です。
あなたはどう思いますか?
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