元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第46回
死を恐れず「さよなら」をした仲間たち

もちろん、
僕はいかがわしい宗教扇動家でもヒーラーの類でもありません。
また、医師でも売薬業者でも治療士を
生業としている者でもありません。
むしろ鼻くそ万金丹や鰯の頭は堅く否定するガン患者で、
一人のジャーナリストであります。
「現代医学の迷信に迷わされては、生きる命も失いますよ」
「医師だけでなく患者の知恵で出来る養生法は、
まだたくさんあるのですよ」
と、ホリスティックな(全人間的な)治療の提案を伝えたいために
このエッセイも書いているわけです。

ところで、何回か闘病記にも書いたエピソードですが、
真摯に死と向かいながら、残念なことに人生途上で
「さよなら」のメールを送ってきた仲間からも
多くのことを学びました。
65歳で肝臓ガンで亡くなられたテレビ関連会社の会長さん
のご遺族からこんなメールを頂いたことがあります。
「生前、あなたのメールに本人は本当に励まされていたようです。
有難うございました。
病床に残した制ガン輸入薬の封も切らないうちに
逝ってしまいました。
ぜひ、あなたに差し上げて長生きして欲しいと
言葉を残しておりました」
おそらく、己の人生を納得したうえでの遺言だったのでしょう。
この慈愛に満ちたメールがいまだに天国から送られているようで、
マウスを握る手が思わずカタカタと震えたのを思い出します。

また、同じく65歳の食道ガンの母親を看取った娘さんから
いただいたメールにも、
気丈夫な患者と心温まる家族の生き方がにじみ出ていました。
「ご無沙汰しております。二年ほど前に貴著「母はボケ、俺はガン」
(日経BP社)を読ませていただき、
母の食道ガンの闘病生活について、
お心尽くしのアドバイスやお薬をいただきました。
母は他界いたしましたが、その闘病を振りかえるとき、
あなたさまからいただいた
大きな贈り物がいまでもよみがえります。
その節はどうもありがとうございました。
母の遺言で「灰の半分をインドのガンジス川に流してほしい」
ということだったので、
今年1月にインドに行ってまいりました。
その後、程なく妊娠しまして、現在8ヶ月の身重の状態です。
どうも母の魂が宿ったように思われてなりません」
術後の苦しみの中で、この患者さんは外科医の執刀を恨むことなく、
もし回復したら好きな海外旅行を思う存分に楽しもう
と語っていたそうです。
成し得なかった夢を果たすべく、
娘さんが母の魂を伴ってガンジス川のほとりに立ったわけです。
はたして娘さんに次なる命が宿りました。
まるで生まれ変わりのように
赤ちゃんはすくすくと育っているそうです。
おそらく、この患者さんは、
自然宇宙の大きな命の流れにわが身を託しながら、
人生を全うしたに違いないと、僕は思って冥福を祈っています。


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2002年10月12日(土)

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