元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第34回
「九死に一生を得る」と
不思議に人生も事業も前向きになるものです

死の恐怖を乗り越えると、いかに運命が逆転するか?
もう少し、臨死体験の話を書いておきましょう。
僕の同輩に絶体絶命の交通事故から生還した稀有な体験の持ち主が二人います。
一人は、10階建てのビルの屋上駐車場から、
車ごとまっさかさまに墜落したのですが、
不思議なことに、体が車のボンネットの上に落ちたために
大腿骨を骨折しただけで九死に一生を得ました。
意識朦朧の中で、5色に光り輝く彼岸の世界を垣間見たよ…
と時折思い出すように快活に話をしてくれますが、
いまだに大腿部には骨を繋ぐ金具が埋め込まれたままです。
でも、それ以来、カルチャーセンターを経営したり、いくつも雑誌を出したり、
事業意欲がますます旺盛となっているから不思議です。

もうひとりは、乗っていたハイヤーが
高速道路のガードレールに激突して意識不明。
救急車が来るまで道端で横たえられていた友人がいます。
そのとき遺体と早とちりして、道行く人達が手を合わせて通りすぎて行くのを、
幽体離脱した己の魂がじっと眺めていた記憶があるというのですから、
不思議な体験をしたものです。
幸いにも意識も体調も回復し、いまも元気です。
会社を起業したり、倒産させたり、大企業にヘッドハンティングされたり、
波乱の人生が続くのですが
「なにも恐いものがなくなりました」というのですから、
心身のもろともに感じた臨死体験が
「心の療法」となっただけでなく、
その人の次の人生を前向きに再生させたようです。

九死に一生を体験し、事業意欲にますます燃えている人といえば、
敬愛する実業家で評論家の邱永漢さんでしょう。
1993年11月、69歳のときのことです。
台湾を飛び立った飛行機が香港啓徳空港で着陸に失敗。
海中に不時着してずぶ濡れになって生還したことがありました。
「キュウ死に一生を得ましたよ」と人に会う毎に
にこやかに語っておられましたが、
まさに「臨死体験」とは人の運命を大きく変えるものだなあと思いました。
なんでも人生の先読みが好きな邱さんは
その2ヶ月前に「私は77歳で死にたい」という本を書いて、
21世紀(2001年)になったら
少し執筆や事業を整理しようと考えたようです。
ところが、この九死に一生を得た事件以来、
若者と一緒になってインターネットやバイオに興味を抱くやら
「死にたい」どころの人生ではなくなってきたのです。

いまや、中国市場の成長は勢いづき、事業ジャンルが増える一方なのですから、
「臨死体験」も、世間で言われるほどのマイナスなイメージではないようです。
考え方次第では意想外のプラス・エネルギーも持っているのではないか?
そうした風に思いたくなります。
ともあれ「死の災いまで福に転ずる」…
この「心の逆療法」が運命を切り開く再生の秘訣ではないか?
近頃、僕はそう思っています。


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2002年9月30日(月)

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