第2回
どちらを向いても「ガン」だらけ?
邱永漢さんがエッセイで紹介してくれた、
常識破りの僕のガン克服法を読んで、
助けを求めに来た大半の患者や家族が
藁をも掴む思いで必死の叫びをあげておりました。
「医者に見放された」「手術の後遺症で転移した」はたまた
「副作用で悶絶している、助けてくれ!」と。
たしかに「ガンを1発で完治できる特効薬」など、
この地球上にはありませんから、メールを開けるたびに、
心が凍りました。
「初めてお手紙いたします。ほぼ日刊イトイ新聞の
邱永漢先生のページを読んでご連絡した次第です。
小生の知り合いに末期肺ガンの患者となった方がおり、
すでに半年の闘病生活を送っております。
医者もほぼさじを投げたような状態でいまは治療するでもなく
栄養点滴だけのために入院を続けているようなことなのですが、
一縷の望みでもあればと思い、お手紙をいたしました」
「お忙しいところ、突然でまことに恐縮でございますが、
本日はお願いがあってメールを差し上げます。
私の祖母のことですが、ひと月ほど前に腹部の異常を訴えて以来、
入院しております。
そして、検査の結果、S字腸というところの癌であるらしいことと、
肺の片方にも水が溜まり、
そこにもガン細胞があるらしいことが判りました。
高齢であるために手術を行うことは難しく、
このまま終焉を迎えさせる他は無いような状況です」
「実は、父が食道ガンであり手術は難しいと家族への告知がありました。
とても優しくて、何事にも我慢強く、
賢い父だけに家族のショックと悲しみは計り
知れないものでした。
しかし、私がしっかりしなくてはと思い、
インターネットで情報を収集する中、
食道ガンの難治性のことや治療の苦しみ、
そして体験談より関根進さんの生還のレポートを発見しました。
これは私にとって輝く希望の光でした。本当にありがとうございました」
おいおい、この健康エッセイの中でも書いていきますが、
僕はたまたま、よき友、よい医師に恵まれて、
幸運にも「命を一つ」拾ったわけですが、
こんな一人の患者にもメールが殺到するくらいですから、
ガンは、多くの人の心身を蝕むだけでなく、
一人一人の運命を食い千切る悪魔病といったらよいでしょう。
演歌のセリフを真似るのは不謹慎でいけませんが、、
いまや「どちらを向いてもガンだらけ」という悪い世の中でしょう。
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