中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4387
新しい発見は無名人のチャンス

ウォーレン・バフェットさんは
アメリカが生んだ世界的な投資家ですが、
ジレットの歯やコカ・コーラには絶大な関心を示したのに、
どうしてだか、
次に世界を風靡したインターネットの業界には
ほとんど関心を示しませんでした。
どうしてかというと、
その人が目を向けた世界で新しい穴場を発見すると、
それなりの新しい世界が次々とひらけ、
その次に現われる新しい世界に目を向けるだけの余裕が
なくなるからではないでしょうか。

コカ・コーラやジレットの歯だけでも
世界的な大金持ちになれるのですから、
ご本人にとってはそれで充分ですが、
アップルやマイクロ・ソフトの時代になって
新しい旗手が現われると、
お金を持っているということだけで
逆に尊重される存在になります。
世代はそういう形で変わり、
次の新しい時代がはじまるのです。

私の場合もバフェットさんと似たり寄ったりで、
私の方が年齢的には少し先輩ですが、
私が株式市場に登場した時は日本経済の成長期で、
日本の工業製品が一世を風靡する時代でした。
ですから私の目は
世界的に評価されるメイド・イン・ジャパンに向かい、
そのあとにインターネットの時代が来ても、
向きを変えるだけの発想も余裕もありませんでした。

ですから次の時代を築く人たちは、
その前の時代に容れられなかった
若い人たちであることが運命づけられているのです。
孫正義とか、三木谷浩史とか言う人たちは、
その成長期にまだ世の中に容れられなかったからこそ、
インターネットという「新しい時代のシルク・ロード」を発見し、
その道筋に無数にころがっている
山のような財宝にありつくことができたのです。

でもそれは時代がもたらしたものですから、
将来は語り草にはなっても、
いつまでも続くものではありません。
マルコポーロだって、
今は精々、ホテルの名前になっているくらいのことですから、
どんな新しい時代も富も過ぎ去って見れば、
昔のことになってしまうのが人間の歴史なんです。


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2012年3月14日(水)

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