第4385回
低価格の有償増資に棄権はありません
日本はサラリーマン資本主義の国ですから、
自社株をロクに持っていない人でも
大会社の社長になることができます。
でも中国では国営事業で監督官庁から任命された人は
董事長が勤まりますが、
民間企業は自分が会社の株の過半数を持っているか、
身内か仲間で過半数を支配している人でないと、
オーナーはつとまりません。
ちょっとでも油断して、過半数を買い占められると、
直ちにクビにされてしまいます。
ですから董事長は常に株主の利益を代表しています。
その董事長が会社が儲かっているのに、利益を配当にまわさずに、
会社に残しておくのは何らかの理由があるからです。
先にも述べたように、銀行から思うようにお金が借りられず、
配当で分配してしまうよりも手元に残しておきたいというのが
中国のように銀行制度が産業界向きにできていない国では
最も可能性が高い理由と言ってよいでしょう。
そうした場合、(自分の持株も含めて)株主の利益を考える董事長は
株の無償配当か、株価より安い値段で増資することを考えます。
後者の場合は資金を必要とする事業計画があることが多いようですが、
たまたま自国民の海外投資に禁止条例のある日本では
投資家が自国の制限に引っかかってしまいます。
亨泰のように比較的日本人の持ち株が多い場合は
増資前に売られる場面がありますが、
棄権された増資分を予め引き受ける業者があって
プレミアム付きで全額払い込んでくれるので、
増資が充たされない心配は全くないのです。
ですから、株主にとって最も関心のあることは
増資に応じたことによって1株当りのコストが下がりますが、
増資後の企業の業績が上向くかどうかです。
もし前回と同じように18セント増資した株が
1株1.5ドルまで値上がりするようになることが起れば、
株を叩き売って腹いせに
私にまで悪口をあびせた人たちはバカを見たことになります。
はたしてそうなるかどうかは
少なくともあと1年は辛抱する必要があるでしょうが。
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