中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4370回
工業の豊作貧乏を考慮に入れる必要が

私が新シルク・ロードと呼ぶインターネットが普及すると、
グローバル化は一段とすすみますから、
世界中の企業が同じ舞台で競争するようになり、
社運を傾けて勝負に出るようになります。

第一次石油ショックのあと、
日本をはじめ世界中の自動車メーカーが
省エネを目指すようになったのに、
アメリカの自動車メーカーだけが省エネに全く無用心で、
相変らず大型車の生産を続けたので、
私は30年ほど前の本で
「いまにゼネラル・モーターズの会社が潰れる時が来る」
と書いたことがあります。
私もそんなことはすっかり忘れていましたが、
本当にGMが破産した時に私の読者の1人から
私の本を見せられたことがあります。
私がそんなことを書いたのは、
目先の金儲けにだけ夢中になって、
将来に対する対策に神経を使わなかったから、
どんな大企業だってやって行けなくなると考えたからです。

あの頃に比べれば、
世界中の同業者の競争する舞台はうんと小さくなっていますから、
インターネット製品だって、自動車だって
もっとずっと激しい競争に曝されることになります。
日本のカー・メーカーの縄張りが
韓国のカー・メーカーに奪われたり、
電機メーカーの市場を中国のメーカーにさらわれることだって
遠い将来のことではありません。
ですからいま日本が一番花盛りの自動車業界だって
日本のメーカーが豊作貧乏の荒波に
巻き込まれる心配がないとは言えないのです。

そう言った意味では、
株式投資をする場合でも、
豊作貧乏が産業界に起ることを勘定に入れて、
銘柄選び、国選びをする必要があります。
トヨタやホンダだって世界中に起る
同業の豊作貧乏に巻き込まれないという保証はありません。
それに比べれば、農業の豊作貧乏の方がずっと荷は軽いのです。
農業の場合はすぐにも異常気象に見舞われて忽ち不作におち入り、
逆に作物の大暴騰に泣かされることは
歴史が教えてくれている通りですから。


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2012年2月26日(日)

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