第4345回
花と祭りと勲章と大売り出し
小説を書いていた私が社会評価を書き、
ついで株式評論を書くようになると、
どんな商売をやればお金が儲かるかに気をつけるようになり、
とうとうお客が自分で洗濯をする
オートメのコインランドリーからビジネスホテルに至るまで
あれこれ手を出すようになってしまいました。
儲かる商売でないと、株価も上がりませんから、
「株の神様」に祭り上げられるようになると、
しぜんにどんな商売が儲かるかに気を使うようになります。
デパートでも、スーパーでも
人集めをするにはどんなことをやればよいのか、
しぜんに人が集まる所に出かけて見るようになりました。
そしてわかったことは、日本で人が集まるのは、
「花見とお祭りと勲章と大売り出しの時だ」
ということに気がつくようになりました。
以後、人を集めないと商売にならないビジネスに
従事する社長さんたちから相談を受けると、
「花と祭りと勲章と大売り出しですよ」と手短に解説します。
大抵、大笑いになってしまいますが、
皆さん、思い当るフシがあるのでしょう。
大地震の後だって、お祭りか、
大売り出しのような行事を企画すると、
どこからとも大ぜいの人が集まって来て、
皆が皆、浮かれた気分になって財布の紐もしぜんにゆるんで来ます。
もしそうだとしたら、花見だって桜だけとは限らないし、
お神輿をかつぐのだって1年に1回ということはないでしょう。
現に中国人はそのことをよく知っているので、
デパートの大売り出しだって年末どころか、
あれこれ理由をつけては人集めをしています。
お祭りや大売り出しになると、人手が足りなくなりますから、
日雇いだってふやすよりほかなくなります。
ならば毎日毎日、新しい工夫をして
客集めをするビジネスをやって見たらどうでしょうか。
自動車や家を売るよりも、もっと工夫してもっと多くの人に
お金を使ってもらうビジネスを考えたらどうでしょうか。
電気料金や消費税の値上げのことばかり考えるよりも、
足腰も少しは軽くなるんじゃないでしょうか。
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