中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4340回
大規模農業には有利なニュースです

私は3年ほど前から、
中国で工業化が一段落したら、
次は食糧不足を起すから、
食糧の自給自足に力を入れなければならなくなるだろう
と主張して、
中国じゅう内モンゴルや寧夏自治区から雲南省、
四川省、さては廣東廣西省まで
大規模農業の候補地を見てまわったことがあります。

その頃は政府のトップの人たちにも
まだその実感がありませんでしたが、
外貨が3兆ドル台まで積み上がり、
過剰流動性でインフレが抑え切れなくなると、
大あわてにあわてて、
ともかく先ず食料品の値上がりに
大なたをふるうようになりました。
しかし、食料品だけは政府が需給のバランスを無視して
値を抑えにかかると、
忽ち姿を消して闇取引が横行するようになります。

現に肉でも野菜でも、政府がちょっかいを出すと、
流通がストップしてしまいます。
儲からないとわかれば生産までストップしてしまうのです。
この1年であれこれいじってわかったのでしょう、
一番効果のある方法は流通のプロセスに割り込んだ
増値税を廃止するにこしたことはないと。
何しろ中国の増値税は売値から
コストを差し引いた利益の中から有無を言わさず
工業製品は、17%。農作物は13%、を徴収するのですから、
大へんな金額にのぼります。
共産体制の下ではすべての企業が国営でしたから、
所得税がなく、市場経済に移っても
所得税収入はそう簡単に受け入れてもらえなかったので、
企業から増値税を徴収することで国費を賄ってきたのです。

その増値税分を流通過程で減税すれば、
少くとも野菜の値段はそれだけ下がるし、
流通もスムーズになります。
それによって、大規模農業も含めて、
農産物が増産になれば、超大現代も緑色食品も亨泰も
息を吹きかえすことは間違いありません。
いいニュースであることに間違いはありませんが、
何しろ株式市場全体が
ユーロ加盟国の大ピンチに足を引っ張られているところですから、
今日明日にもというわけには行かないでしょうが。


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2012年1月27日(金)

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