中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4277回
株の先生も楽じゃありません

私が勝利管道に目をつけたのは、
中国の石油消費量がアメリカの半分に達したのに、
原油や精製油や天然ガスを輸送するパイプが
アメリカの10分の1にもなっていないことを知ったからです。
日本のように陸地が狭くて、
トラックで輸送しても間に合うところは別として、
広大な地域では効率的にも安全上からも
パイプで輸送する必要があります。
とりわけ中国の場合は国防上からも、
パキスタンやミャンマーからパイプを引く必要があるので、
勝利管道と珠江石油天然気鋼管が上場されると、
私はその業績に注目するようになりました。

2社とも業績もよいし、
将来性もあると思いましたが、
何しろ石油と天然ガスを運搬するパイプですから、
中国石油化工とか、
中国石油天然気の考え方1つに大きく左右されます。
これらの石油会社も元を言えば
国家の方針で事業の展開をしますから、
どこからどこまでパイプを敷くかは、
市場相手の商売とはわけが違います。

たまたま昨年のはじめに、
私が考察団を連れて山東省にある
勝利管道の本社工場を訪問した時は、
工場を倍増する工事に着工しているところでしたが、
政府がパイプ建設の予算をストップしたので、
受注が減って減収減益に見舞われるところでした。
おかげで株価も大下がりに下がり、
短期勝負に出る連中から私はボロクソに言われました。

1つの事業が大きな山を超えるには2年や3年はかかると
私は考えていますから、
1ぺん注目した株はナンピンにナンピンを続けます。
すると、ミャンマーを通るパイプを敷く契約に
中国の総理が調印に出かけたり、
ロシアの天然ガスを中国に引く契約にも
双方の国が合意したというニュースが流れました。

これでいよいよパイプ・ビジネスも
軌道に乗るぞと思うのは株主だけで、
新しい工事は遅々としてなかなかはじまらないし、
会社の業績は下る一方、
そういう所をガマンするのが株式投資ですが、
きこえてくるのは
私に非難を浴びせる短期勝負の山師たちの声ばかり。


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2011年11月25日(金)

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