中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4186回
レストラン業界大変動のシーズンです

高級レストランから一杯飲屋まで、
サービス業はハヤリスタリが激しいので、
成長期の日本でも激しく入れかわりました。
ですから私は
「レストランは何のためにひらくか知っていますか」と
よくうちのスタッフたちにききます。
あれこれ無駄話をした末に、
「レストランは早い遅いの違いがあるだけで、
どんな有名店でもいつか必らず店じまいをするでしょう。
だからレストランは閉めるために店をひらいているのですよ」
と茶化すと、
「じゃ、何で僕たちに店をひらけと言うのですか」と反論されます。

「それはね、店じまいにならないためには、
どうすればいいか、君たちに工夫してもらうためですよ」
というのが最後の締めくくりになりますが、
それでも早い遅いの違いはあっても、
どんな有名店で必らず店じまいをする時が来ることに
変わりはないのです。
名コックが年をとって隠居することもあれば、
年をとらなくともお客に飽きられて店じまいをすることもあります。
まして一般人相手のレストラン業は
業種的にも資金的にもとっかかりやすい仕事の1つですから、
姿を消す店があると
それに負けず劣らずに新しい店が姿を現わします。

ところが、最近の動きを見ていると、
あまりに環境がきびしくて、店じまいをする店があっても、
新しく店びらきをする店はめっきり少くなってしまいました。
とりわけチェーン店を展開してきた大規模レストランで
街道筋にひらいていた大規模店を次々と閉鎖するので、
それをそっくり引きついで、
椅子やテーブルの手なおしすらせず、
超安値のステーキ屋をひらいている
貧乏人相手のチェーン店を拡げている
俗称ハイエナの店が話題を呼んでいます。
でもまさか世の中全体が
そこまで落ち込むことにはならないでしょう。

そうは言っても世の中が大きく変わるところまで来ているので、
レストラン業界も大きく入れかわる所に
さしかかって来ているのです。
ここを乗り切ることが
この業界を生きる人の最大の課題になっていると、
言っていいでしょう。


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2011年8月26日(金)

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