第4114回
所得を発生させずに資産をふやす実験

話が前後してしまいましたが、税金の勉強をしているうちに、
戦後どんな位置にいた人が財をなしたかを
お金の出入りの裏側から覗くことになり、
自分の職業を変えないまでも、
そのやり方を自分の生き方にとり入れることができないものか、
と考えるようになりました。

一番手っとり早く真似ができて、すぐにも応用できるのは
「所得を発生させずに資産をつくる方法」です。
それは「借金して不動産を手に入れ、
値上がりしても売らずにジッと持っていること」ですから、
銀行から借金してビルを建てることができればいいのです。
事業をやっている人なら、大なり小なりやっていることです。

私は既に借金をして小さなビルを建てたり、
人が建てたマンションを何室か買って人に貸していました。
そうしたやり方を人にもすすめ、
「借金学入門」という本まで書いています。
ただ一般の商売人と違って
文筆家には文筆家としてのプライドがあって、
借金するために銀行に頭を下げることにはためらいがあります。
しかし、その一方で成長株理論が世に受け入れられ、
もはや私の出る幕はなくなったので、
自分が売り物にしていた株式投資から卒業して、
商売替えをする必要にも迫られています。

「よし、それなら自分の原稿料や講演料を家族会社の収入にして、
そのお金を利息の支払いに充てようじゃないか。
そうしたら、１年間の収入の10倍のお金が借りられて、
そのお金で所得を発生させずに
資産をふやすことができるんじゃないか。」

文士の収入など大実業家の収入に比べれば微々たるものですが、
私は「株の神様」として年間に200回くらい講演があり、
原稿料収入とあわせるとバカにならないだけの位置にあります。
ならば知り合いに頼んだらどうだろうと考えて
学校時代の友人が就職している銀行に行って
借金の交渉をしました。
本職の不動産業者に比べると微々たる金額ですが、
こうした所から私の
「所得を発生させずして資産をつくる」システムが
動き出したのです。