第4106回
バカにされたシロウトの節税法でしたが
税金についてズブの素人だった私が
日本の一流新聞で「ゼイキン報告」の連載をはじめたのですから、
先入観のない一般の読者は
読物として面白がって手に取ってくれましたが、
自分こそプロだと自負している税理士とか、
国税関係の人たちの間ではかなり物議を醸しました。
議論は大体最初から
「面白いじゃないか。
どんな見方をするか、様子を見ようじゃないか」
という心の広い人と、
「シロウトの癖に知ったかぶりをしやがって、
俺たちの縄張りを荒らすとは何事だ」
と敵愾心を持って反撥する人たちに二分されてしまったのです。
私に好意を持ってくれた税理士の先生方は、
私の連載が軌道に乗りはじめると、
私のオフィスに連絡があって
「自分は百何十社の事業会社の税務にたずさわっていますが、
うちの顧問先の社長さんたちを集めますから
1回講演に来ていただけませんか」
と次から次へと依頼があって、
あッという間に私をプロ扱いしてくれるようになりました。
反対に私を他人の畑を荒らすならず者と
いまいましく思った人たちは
「いつ私が馬脚を現わすか」
と羽子板を高くふりあげて待っていました。
そして、私が減価償却のやり方で節税をする方法について
説明する折りに、
残存価格のあることをうっかり忘れて、
帳簿をゼロにしてしまうと、
「それッ、間違えたぞ、このド素人奴が」
とばかりに何十通もの抗議文が私の家まで舞い込んできました。
それだけ関心を持たれたのですから、
もって冥すべきだと思いますが、
私がズブのシロウトだっただけに、
クロウトでは思いもつかないような提言を持ち込んだことが
いくつかあります。
その一つは当時、贈与の限度額は40万円だったので、
どの節税の本にも
「子供には毎年、40万贈与すればよい」と書いてありましたが、
私は年に100万円贈与して、超過した60万円の10%の6万円を
税金として払った方がトクだと解説しました。
子供に贈与したお金で子供の名義で株を買って
ふえた分については
後々まで文句を言われないですむと思ったからです。
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