第4088回
日本の流通業にとってまたとないチャンス

中国人は日本人に比べると、
外国に移住する人も多いし、
近頃は海外に出かける人もうんとふえています。
つい最近は日本の大地震と原子力発電所の事故で
旅行のキャンセルが続いていますが、
もう少し時間がたって平常に戻れば、
旅行ブームも平常に戻ると思います。

日本に旅行に来る中国人が秋葉原で炊飯器を大量に買い占めたり、
デパートで日本人も買わないような
高価なファッション製品を買ったりすることは
広く知られていますが、
それを見て中国人が新聞で報じられているように
日本及び日本人に敵意を持っていないことがわかって、
ホッとしている方もあるようです。

日本人に比べると、中国人の方が外国人に対して好意的で、
自国内でもそうですが、
外国に行くと外国の物を珍しがって進んで買物をします。
中国にいてもそれは同じで、
電気製品だけでなく、
化粧品でも乳製品でもファッション製品でも、
ただ外国製品というだけで自国製品より珍重する傾向があります。

それがコピー製品や模倣品をつくる動機にもなっていますが、
同じ生活用品でも日本製の方が
アメリカ製よりは親近感があるので、
北京でも上海でも、百貨店、スーパー
コンビニを問わず、日本からの進出企業は
アメリカのヨーロッパのそれよりも親しまれているのです。
とりわけ日本人はサービスに気を使い、
お客の身になって対応するので、
広く中国人から受け入れられています。

ですからアメリカ式のショッピング・センターが不評で、
店が成り立たなくなるのが目に見えていますので、
日本の流通業がそれにとって代わる
またとないチャンスだと私は見ています。
ちょうど大震災のあとで、
百貨店もスーパーも国内では落ち込んでいるさなかですから、
消費力のついてきた中国の市場は
絶好の新天地ではないでしょうか。
この時点でどう対応するかによって
日本の流通業の盛衰が分かれるのではないでしょうか。