第4068回
アマゾンの大森林に挑戦する美人社長
私がアマゾンで材木の伐採に従事している
永保林業の存在を知ったのは
香港の経済新聞の株の雑誌が何回か取り上げたからです。
新規の事業が業績のはかばかしくない上場会社の株を買い占めて
換骨奪胎して上場するのは珍しくありませんが、
永保林業もそうした上場企業の1つです。
事業内容が全く変わってからまだ二、三期しかたっていませんが、
ずっと赤字だった会社が昨年の2010年9月までの半期に突然、
1億8300万香港ドルの利益を計上したのです。
その内容はというと、
ブラジルのアマゾンの河畔で地元の電力会社が
新しい工場を建設するにあたって敷地を造成するために、
永保林業に広大な森林の伐採を只のような値段で委託したのです。
そのために伐採した材木を処分しただけで
何と営業額の7割に及ぶ利益を計上することができたのです。
その代わり電力会社の建設の都合に合わせたスピードでしか
伐採は進みませんから、
同じスピードで業績があがるわけではありません。
但し、このプロジェクトがきっかけになって、
この会社は次々と膨大な森林を手に入れるようになりました。
アクリ州だけでも44.503ヘクタールの森林を手に入れ、
次々と他の州でも買収が進んで
所有森林が何と110万ヘクタールにも及ぶようになったのです。
年産18000立方メートルの処理のできる
半製品生産工場も経営するようになり、
ブラジル国内のほかに、中国に製品の40%、
インドと日本に各10%ずつの
輸出を見込んだ計画をすすめているところです。
思わぬ事業の展開にヒントを得て、ブラジルだけでなく、
シベリアにも話を持ち込んだところ、
こちらはブラジルの硬木と違って主として軟木ですが、
東北三省の満州里に貨車に載せて7時間で到着できる地点に
25万ヘクタールほどの森林の伐採権が手に入ったのです。
今まで誰も思いつかなかった事業だけに、
はたしてどういう展開になるかは私にも見当がつきません。
会社をスタートさせた美人社長さんも恐らく同じ思いではないか、
と私は想像しています。 |