中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4026回
バブルがすぐはじまるわけではありません

中国の不動産が値上がりをはじめてかなりの時間がたちましたが、
私はずっとバブルの到来には一切ふれませんでした。
どうしてかというと、
上海や北京などの大都会で新しい成金たちが
1人で2室も3室もマンションを買い、
貸しに出しても借手がなくて空室になっているのを見て、
早とちりの連中が
「それッ、バブルがはじけるぞ」と声をあげましたが、
それは一部の特権階級の間に起ったことであって、
国全体から見たら、
まだまだ自分の家を持たない人の方がずっと多く、
マイホームの需要はいくらでもあると考えたからです。

ところが、最近は地方都市でも20階建、30階建のマンションが
雨後の筍のように次から次と建ち、
しかも一時はそれが売れずに空家になっていました。
「これは大へんだ」と私はびっくりしましたが、
この2、3年、国際収支の大幅な黒字が続き、
何と外貨が2兆5千億ドルも積み上げられてしまいました。
ということはそれに相当する人民元が
全国に放出されたことになりますから、
銀行はどこも人民元に溢れていることになります。

国内景気を支えるためにも、
マンションと自動車と家電製品が売れればいいわけですから、
地方政府が主導して分割払いの長期資金の提供をはじめ、
それが有効需要として不動産にまわったので、
あッという間に不動産が値上がりし、
値上がりすると更に不動産に人気が集まるので、
全国的にマンションが高値を呼ぶようになりました。

3割支払うとあとは銀行がお金を貸してくれるので、
猫も杓子も、いやいや、13億総不動産屋に早変わりです。
その3割も親兄弟、親戚から借りまくった人が多いのですから、
不動産がドーンと下がったらどうする積りでしょうか。
でも誰も心配している人はいません。
皆がそうしているのですから、
お金が払えなくなるのは自分だけではないと思っているからです。
だからバブルがすぐにはじまるというわけではありませんが。


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2011年3月19日(土)

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